今日の「詰将棋並べ」

勉強の準備は良いですか。

初めてのかたは まずは以下の過去記事で

学習の進め方をご確認下さい。


 

 

【ぴよ将棋さん】を使用した学習方法も

併せて ご参照ください。


 

 

ご自宅の盤駒で じっくりと

 

職場のご休憩時間なら

マグネット将棋盤などで

 

並べてくださると嬉しいです。

 

 

引き続いてコツコツと

 

江戸時代の作品から勉強していきます。


 

天野宗歩のお弟子さん「渡瀬荘次郎」

 

Wikipediaさんより

 


 

渡瀬荘次郎著 「待宵(まつよい)」から

 

 

「江戸慶応」の時代の詰将棋です。

 

 

 

今回は【待宵 第番】です。 

 


 

 

テーマ:
 

・余詰がある
 

・変同(変化同手数駒余り)

 

 


詰め手順を並べる前に

今回の48番には 

作者の意図する詰め手順(=作意手順)

のほかに

*余詰 という

攻め方が手を変えても詰む手順があります。

さらにもう一つ

玉方が手を変えて逃げますが


作意手順と手数で詰み かつ

駒が余る詰め手順もあります。


*変同 といいます。

つまり この作品には

3通りの詰め手順があります。

参考記事:待宵第6番 (余詰と変化の記述があります)



以下で その

3通りの詰め手順を書きますので

まずは順番に 全部の手順を

並べながら憶えてください。


きっと実戦の棋力向上へ役立つと思います。




注:

変同には


・玉方変化同手数駒余らず(詰め上がりで駒台に駒が余らない)


・玉方変化同手数駒余り(詰め上がりで駒台に駒が余る)


上記2種類のものがあります。



 


 

 

図:初形図

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詰め手順① (作意手順)

43角成 22玉 32馬 同銀 34桂

31玉 43桂不成 同銀 41飛 32玉

42飛成  まで11手詰 


この①の手順は 11手で詰み 

なおかつ駒が余らずに綺麗に詰みます。

 

*作者の渡瀬荘次郎の作意の手順とします。


 

図: ①の詰上がり図

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上図 駒が余らずに詰みました。

 
手順を観ながら詰めて 


初形に戻して また詰めて

繰り返し 並べてみてください。 

 

では次に 余詰手順を並べてみましょう。


盤面を 初形に戻してください。 

 

 

詰め手順② (余詰)

43角成 22玉  32馬   同銀 34桂

31玉 23桂不成 同銀 41飛  32玉 

42飛成      まで 11手詰


 

この②の手順は ①同様に11手詰みですが

 

途中 7手目で▲23桂不成と

攻め方
が ①とは別の手ですが 詰みました。

攻め方が作意のではない手でも

詰みがあることを【余詰がある】とします。

 

ですから この詰将棋には余詰があります。

作品としては 不完全作ということになりますが

実戦の終盤力へは学ぶことも多いので

この手順もぜひ繰り返し並べてください。


たくさんの手・手順を知りましょう。

 

 

図: ②の詰上がり図

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上図 

▲23桂不成からも11手で詰みました。

 

駒台に 歩が一枚余ります。 

 

 

最後に③の手順です。


盤面を 初形に戻してください。
 

 

詰め手順③ (変同:変化同手数駒余り)

 

43角成 22玉 32馬 同玉 12飛

同香 
43銀成 22玉 34桂 11玉

 

23桂不成 まで11手詰

 

 

③も同じ11手で詰みます。



玉方が手を変える事を

変化といいますが

この③の手順では


玉方が 3手目の32馬を 

△同玉と変化しても詰む変同

 

玉方変化 同手数 駒余り の詰となります。

 

 

前述の復習になりますが

 

変化して

同じ手数 駒が余らない場合は

変同でも 

 

変化同手数駒余らずと呼びます。



変同は 今までの

詰将棋並べの連載の中でもしばしば出てきましたが


現代の詰将棋でも

 

最後の2手のみ許容されています。



 

今回の③の手順の場合は 

・玉方の変化は 最後の2手ではなく 


初手から数えて4手目です。

その後 7手で詰みです。

=総手数は11手ですね。

作意と同様の手数で詰みます。

 

  (加えて駒台には1歩 余ります)


 

作品自体は不完全ですが 

終盤の実力養成になります。

勉強のため この手順も憶えてしまいましょう。

 

 

図:③の詰上がり図

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上図 ③の詰上がり図です

 

▲23桂不成までで詰みですね。

 

*=吊るし桂で詰み


参考記事:待宵第46番(吊るし桂の記述があります)

 

 

 

以上の詰め手順①~③までを

しっかり盤駒で並べて憶えましょう。

 

【詰将棋並べ】では

自力で解答を考えなくて構いません。


解答手順を観ながら

ゆっくり 確実に憶えてください。

 

憶えてしまったら 盤面を初形図に戻して

以下へ進んでください。




 

【学習・研究】

 

 

・初手の研究
 
 

初手についてまず観ていきます。

初形図から ▲82飛の王手はどうでしょうか?

 

飛車を横利きいっぱいに使っての

よくある手です。


*この飛車は

92・72・62からの王手でも


同じ意味です。

飛車は上記の地点の


どこから打っても構いません。


非限定打です。

 

 

図:初手 ▲82飛

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この手は結論からいうと 詰みません。

以下で観ていきます。 

 

 

図:初手▲82飛 △42歩

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上図 

△42歩の合駒が良いですね。

 

 

図:初手▲82飛 △42歩 ▲43角成 

△22玉 ▲34桂 △12玉

 


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12まで逃げました。

続けます。 

 
 

図:6手目△12玉 ▲42飛成

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飛車を成って王手しましたが

 

42の合駒が 歩のため 

持ち駒には歩しかありません。

 

 

 

図:7手目▲42飛成 △同銀 

 
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上図まで進めてみると 

攻め方は 駒台の 1歩では

 

玉を詰ます事ができません。

 

合駒が 金だったら 

▲22金までで詰みですが

 

あいにく 歩では王手がかかりません。

 

従って

 

初手 ▲82飛は詰まない

 

合駒の42歩が好手でした。

 

 

よって 



初手は ▲43角成となります。


 

*初手 ▲43銀成の王手もありますが

 

△22玉とされて 61の角が使えず詰みません。

 

盤面を 初形に戻してください。
 
 

図:初手 ▲43角成

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初手 ▲43角成としました。

 
 

 

図:初手▲43角成 △22玉 32馬

 

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3手目の▲32馬が素晴らしい手で

 

これは勉強していないと

指せない手でもありますか。

 

しっかり憶えておきましょう。

 

玉方の 玉と銀に働きかけた手ですね。


 

【玉方の対応】

この後どう応じても 詰みになります。

 
観ていきます。 


 

図:初手▲43角成 △22玉 ▲32馬 

△12玉 ▲23桂成

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上図

 

▲32馬に △12玉は 

▲23桂成で詰みです。


 
馬を取らずに逃げると 早く詰みますから 

 

32馬を取るしありません。


 

玉か銀か、ですね。

 

△32同銀から調べてみます。

 


盤面を 初形に戻してください。

 


図:
初手▲43角成 △22玉 

▲32馬 
△同銀

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上図は 3手目▲32馬に 

△同銀とした図です。

 

 

図:5手目 ▲34桂

my48-13
 

この▲34桂は良い手ですね。

 

桂馬が 縦に2枚並びました。
 

 

図:5手目▲34桂 △12玉 ▲22飛


my48-14

上図

 

▲34桂に △12玉は 

▲22飛で簡単に詰みです。

7手の早詰みです。 

 

従って 34桂には

△31玉と逃げるのが 最善の頑張りとなります。
 
 

 

図:初手から▲43角成 △22玉 

▲32馬 △同銀 ▲34桂 
△31玉 


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上図 △31玉と逃げました。

ここから 飛車1枚では

詰まないように見えますか。

 

ですが 良い手があります。
 

 

図:6手目△31玉 ▲43桂不成 △同銀 

 

▲41飛

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7手目の▲43桂不成が絶好手で 

△同銀の一手に 

▲41飛と打てることになります。

 

銀の利きが 41になくなったため 

上図の ▲41飛が実現しました。

 

この▲41飛には 

△32玉と逃げるしかありませんが

作意の手 ▲42飛成までで詰みです。


 

*確認:最終手余詰 があります。

 

下の図です。

 

図:9手目▲41飛 △32玉 43銀成
 
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*余詰は 詰将棋のルール上 

最終手のみには許容されています。

①の作意手順も 最終手が

▲42飛成でも ▲43銀成でも詰んでいます。

 

これを 最終手余詰と呼びます。

 


では 次に ②の 

余詰手順について観ていきます。

6手目 △31玉までは

作意手順と同じ進行でした。


盤面を △31玉の局面まで戻してください。 


=初形に戻して 6手目まで進めてください。

*局面を作成したり また戻したり 

盤駒で実際に 駒を動かしてみてくださいね。 

 


 

図:初手から ▲43角成 △22玉 ▲32馬 

△同銀 ▲34桂 △31玉

 
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上図

 
①の作意手順は 次の7手目で 

▲43桂不成としましたが 

 

ここで攻め方が▲23桂不成としても

詰みがあります=余詰です。

 

 

図:7手目 ▲23桂不成

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上図をじっくり観てみましょう。

 

34の桂馬が良く利いていて

玉は 逃げ道がなく

 

△23同銀と取るしかありません。

 

 

図:7手目▲23桂不成 △同銀 ▲41飛


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上図 

▲41飛が実現しました。

 

しかも 22の地点には桂馬が利いていて

 

①の詰と同様 △32玉と逃げるしか

手がありません。

 

 

図:9手目▲41飛 △32玉 ▲42飛成 

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詰みです。

 

前述の通り 最終手は

▲42飛成ではなく △43銀成でも詰みですね。

=最後手余詰です。 

 

 

盤駒でご確認をお願いします。

 


では最後に ③の 変同手順を観ていきます。

4手目で △同玉と

玉方が手を変えた順です。 

 
 

盤面を 初形に戻してください。

 
 

図:初手から 

▲43角成 △22玉 ▲32馬 
△同玉

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上図

玉方が
 4手目で

△32
同玉と 変化した図です。


▲32馬の好手には 当然 

この△同玉も調べておきたいところです。

 

以下で観てみます。

 

図:4手目△32同玉 ▲12飛!

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この ▲12飛は素晴らしい手です。

 

詰将棋や 実戦での終盤にここへ飛車を打って 

逃げ道を狭くする 
ないし

詰みやすい形にする 頻出の手です。

 

憶えておきましょう。

▲12飛には △同香と応じます。


*5手目▲12飛には 

△22銀と

盤上の駒を移動させる 移動合もありますが 

その場合の手順は 以下です。

▲12飛 △22銀(移動合) ▲43銀成

△31玉 ▲23桂不成 △同銀 

▲42成銀(ないし▲42飛成)


持ち駒に 桂馬と歩が余る 11手詰になります。 

盤駒でご確認下さい。 

 

では 初手から 

5手目▲12飛に △同香とする手順を

続けて観ましょう。


5手目▲12飛の局面に戻してください。
 

 

図:5手目▲12飛 △同香 ▲43銀成 △22玉 

 

▲34桂 △11玉 ▲23桂不成

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最終手  
▲23桂不成まで 

吊るし桂で詰みの図です。

作意手順①と同じ11手

変化同手数 駒余りの ③の詰め手順でした。

▲12飛の効果です。


玉は △11玉と

逃げるしかありません。

 

途中でもし ▲12飛を指していないと

以下のようになってしまいます。 

 

3手目 ▲32馬の局面まで戻してください。 


 

図:3手目▲32馬 △同玉 

43銀成 ▲12玉

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▲12飛を入れないで ▲43銀成としてしまうと

 

△12玉とされて 
 

攻め方の持ち駒 飛車1枚では詰みません。

 

玉方の 31銀の利きが

22の地点にあるのですね。



 

失敗図:6手目△12玉 ▲22飛

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△12玉に ▲22飛 と王手しましたが 

△同銀で詰みません。

 

失敗です。

 

やはり▲12飛が良い手でしたね。

 

ここまでの 作意、余詰、変同手順の
 

①~③ までを 全部憶えてしまいましょう。








 

図:反転図


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今回も

反転図からの詰みを練習します。

 

反転図での玉を自玉に見立てて

 

この図で 詰みがあることを確認します。

 

違和感のなくなるまで

 

順番に①~③までの手順を 

観ながら 全て並べてみましょう。

 

 

①(作意手順)

43角成 22玉 32馬 同銀 34桂 

31玉 43桂不成 
同銀 41飛 32玉

 

42飛成 まで 11手詰

 

 
 

②(余詰)

43角成 22玉 32馬 同銀 34桂 

31玉 23桂不成 
同銀 41飛 32玉

 

42飛成 まで 11手詰

 

 

 

③(変同:変化同手数駒余り)

43角成 22玉 32馬 同玉 12飛 

同香 
43銀成 22玉 34桂 11玉

 

23桂不成 まで11手詰

 

 


①から③までの手順を憶えましたか?

 

できたら 今度は 手番を手前として

この玉にかかっている詰めろを

 

いつものように外しましょう。

 

自玉の詰めろを外す練習も 実戦では重要です。

 

盤面を 反転図初形に戻してください。 

 
 

図: △22玉

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△22玉としました。 


玉の早逃げです。

 

この1手で詰みません。

 

*玉の早逃げは

良い手であることが多いですね。

 
もうひとつ 詰めろを外す手を挙げてみます。 

 

反転図初形に戻してください。
 
 

図: △35銀

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△35銀と 

攻め方の桂馬を取りました。
 

桂馬を取り払うのも有効手段です。

 

攻め駒を取ってしまう・拠点の除去

 

これも基本ですね。

 



 

今日の勉強は終わりです。

 

手順は 

憶えるまで 繰り返してみて下さい。

 

お強い方は頭の中で動かして

全部の変化
を憶えてください。

 

自玉の詰みの確認も ぜひお願いします。

 

そうして【詰めろ】を 外す手もいろいろあるので

やってみて 練習しましょう。 

 

以下は例です。

 

例:

 

・△22玉 (玉の早逃げ)

 

・△35銀 (拠点の除去・攻め駒を取ってしまう

 

 

 

上記の2つは 例です 

憶えておいてくださいね。

 

まだまだ 逃れる手があります。 

 

 

お強い方はたくさん

詰めろを 外す手を
探してみて下さい。

 

また一緒に勉強しましょう。


*用語に関連する過去記事:

・変同・非限定→待宵第24番



・不完全作→待宵第34番




・最終手余詰→待宵第21番


 

局面作成

 

http://home.att.ne.jp/lemon/ogi/SituationFigure.html 様より

 

 

ありがとうございます。