今日の「詰将棋並べ」

勉強の準備はいいですか。

初めてのかたは 以下の過去記事で

学習の進め方をまずご確認下さい。 

 


 

【ぴよ将棋さん】を使用した学習方法も

併せて ご参照ください。

 

 

ご自宅の盤駒で じっくりと

 

職場のご休憩の時間なら

マグネット盤などで

 

並べてくださると嬉しいです。

 

 

今回も

 

江戸時代の作品から勉強していきます。


 

天野宗歩のお弟子さん「渡瀬荘次郎」

 

Wikipediaさんより

 


  

 

渡瀬荘次郎著 「待宵(まつよい)」から

 

 

「江戸慶応」の時代の詰将棋です。

 

 

 

今回は「待宵 第35番」です。 

 
 


 

 

テーマ:
 

・歩が余る詰将棋(不完全作)
 

・合駒:非限定合
 

・玉を下段へ落とす

 

 

 

図:初形図

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詰め手順:

 

32と 13玉 12金 同玉 14香 

13歩(合)11金 
同玉 13香不成 同金

 

33馬 12玉 22馬

まで 13手詰

 

 

上記の 詰め手順を観ながら

繰り返し 盤駒で並べて憶えてください。

 

 

 

:詰上がり図

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歩が余る作品なので 

不完全作
といわれるものですが

古典詰将棋からの学びはたくさんあります。

勉強になる手筋や 気づきも多いです。
 


この【詰将棋並べ】では

初形から自分で解図しなくてよいです。

 

「手順を観ながら 憶えてしまう」

という 学習の趣旨です。 

 

詰将棋を自力で解く楽しみは

ご自身でお持ちの書籍にて

 

挑戦してくださいね。 

 

初形図から並べて詰めて

また初形図に戻して また詰めて

まずはこれをゆっくりと繰り返してください。



上図から 初形へ戻せますか?

 

段々と 手が憶えてきます。

ある程度憶えてきたら 今度は

以下の解説を観ながら 学習していきましょう。 

 

 



 

【学習・研究】

 

・初形から初手の研究

 


初手の作意手は

上記詰め手順の ▲32と ですが

 

その他の初手の候補はありますか?

観ていきましょう。

 

:初手 ▲32馬

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初手 ▲32馬は迫力がありますが

 

△13玉とされたとき

(一番初めに示した
手順で玉に迫った時)

 

42の【と金】との

連携・協力ができず
 
詰みまで あと少し足りません。

 
 

*盤駒で 冒頭の作意手順と比較してみてください。

 

初手▲32馬 △13玉 ▲12金 △同玉 

▲14香 △13歩 ▲11金 △同玉

 

▲13香不成 △同金 ▲33馬 △12玉までで

・・・詰みません。

 
 

*初手は ▲32と です。

 

 

図:初手 ▲32と

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馬が入らずに と金を1つ寄る 

この▲32とが良い手となります。

 

玉方は △13玉と逃げるのが最善ですが

 


初手▲32と に △12玉と逃げると

どうしますか?


 

:初手▲32と △12玉

 
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△12玉としました。

 

ここからは 作意手順より早く詰みます。

 

観てみます。

 

 

図:初手▲32と △12玉 ▲11金

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3手目 ▲11金が上手い手です。

 

 

図:3手目▲11金 △同玉 ▲14香

 
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香で王手です。

続けます。 

 

 

図:5手目▲14香 △13歩(合)

 
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▲14香の王手に △同金は 

▲22金までの1手詰ですね。


なので 合駒が必要ですが

 

▲14香へ △13に何を合駒しても

 

以下で 詰みとなります。

限定されない合駒ですから 

非限定合です。 

 

 

図:5手目▲14香 △13歩合(非限定合)

▲21と △12玉 ▲11金 まで詰み

 
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13へ どの駒を合駒しても

 

上図 ▲12と→▲11金で詰みです。



 

【全部の手順を学習しましょう。憶えてください。】


 

復習:

初手▲32と △12玉 ▲11金 △同玉 ▲14香 

△13合 
▲21と △12玉 ▲11金

 

まで 9手で早詰み。

 

従って


 

*初手▲32と に 

玉方最善は △13玉

 

盤面を 初形に戻してください。 

 
 

図:初手▲32と △13玉

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この2手目 △13玉が良い手です。

玉が遠くて 一見すると

 

これ以上 攻め方は迫れないと思われる図です。

 

しかし 作意手順の通り

上図からは 詰みがあります。

条件がそろえば詰むのですから

詰将棋の学習はやはり必要ですね。


  

 

:初手▲32と △13玉 ▲12金!

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△13玉には 金を捨てていきます。

 

 

 

図:3手目▲12金 △同玉 ▲14香

 
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この▲14香は 気持ちの良い手です。

 

この手への玉方の一番の頑張り・粘りは 

13の地点への合駒ですが

 

もし この香を取ってしまうと どうでしょうか?

 
 

 

図:5手目▲14香 △同金

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上図

 

▲14香を △同金としました。

 

ここから 良い手があって詰みます。
 

 

図:▲14香 △同金 ▲23金!

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▲23金が良い手です。 

憶えておきましょう。

 

この▲23金で 玉を

【馬】と【と金】の方へ呼び寄せます。

 

 

図:5手目▲14香 △同金 ▲23金 

△同玉 ▲33馬 △13玉 ▲22馬

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上図
 

▲23金には △同玉の1手ですね。

 

以下は 馬を寄せていけば

詰みとなります。

11手の早詰みです。 

 

 

従って 

▲32と △13玉 ▲12金 △同玉 ▲14香には

 

13へ合駒をして頑張ることになります。

 

 

【13への合駒を調べる】

 

作意手順で 歩合は示しましたので

 

その他の駒を 全部調べておきましょう。

 

合駒は全部調べてみる習慣をつける。

 

→合駒を問う問題への

苦手意識をなくしましょう。

 

 

歩・香・桂・銀・金・角・飛

 

全部調べます。

 

慣れたら 

合駒は一目で最善が選択できるようになってきます。

 

初めは トレーニングとして

全ての駒で調べてみて

読みの力をつけましょう。

 
 


では 作意以外の
 

香合から 以下で調べます。

盤面を 5手目▲14香まで戻してください。 

 
 

 

図:6手目 △13香合


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▲14香に △13香合の図です。

 

以下の詰みは

 

▲11金 △同玉 ▲13香不成 △同金 

▲33馬 △12玉 ▲22馬

まで13手詰

 

 

図:△13香合から 詰上がり図 

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やはり ▲11金から詰みですね。

 

*作意手順の13歩合と同じです。

 

次は 桂合を観ます。 


5手目 ▲14香の局面まで戻してください。

 
 

図: △13桂合

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△13桂合は 以下 

▲11金 △同玉 ▲13香不成 △同金 

▲33馬 △12玉 ▲22馬まで 詰みです。

 

これも同じ手順ですね。

 

 

図:玉方 △13桂合の詰上がり図

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次は銀合です。

 
5手目▲14香の局面まで戻してください。 

 
 

図: △13銀合

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この銀の合駒でも 同じ手順です。

上図から お手元の盤駒で 詰ませてください。 

 

 

図:玉方 △13銀合の詰上がり図

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次は金合を観ます。

5手目▲14香の局面まで戻してください。


 

図: △13金合

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ここまで
 

歩合 香合 桂合 銀合 

どれも同手順・同手数で詰みました。
 

この金合も同じです。

お手元の盤駒でご確認ください。

では 角合も観てみましょう。 

 

5手目▲14香の局面まで戻してください。

 

図: △13角合

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この角合も

11金から迫って 同じ手順で詰みです。

最後に 飛合です。

5手目▲14香の局面まで戻してください。
 

 

図: △13飛合

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飛車の合駒でも同じですね。

 

したがって

この 13の地点には

 

何を合駒しても以下同じ手順で詰むので

 

6手目は「非限定合」となります。

逆にもし この合駒の点検時

ある特定の合駒でしか詰まない、と分かると

それは 限定合  となります。

念のため全部を丁寧に確認してみましたが

詰将棋を解く時や 指し将棋での攻防を考える時

確実にご自身の力となりますし 楽しみも広がります。

ぜひ この作業を身に付けましょう(^^)


 

13の地点には何を合駒しても同じである

 

=非限定合
 

 

 

図:作意手 6手目△13歩合

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上図


△13歩合を 冒頭に示した作意手順としました。

当ブログでは 非限定合の時には 

 

一番 価値の安い駒

 

合駒として示すようにしています。


 

*もし これが

詰将棋の解答を求められる問題でしたら

 

どの合駒で答えても正解です。

(例:飛車合など) 

 

 

図:6手目△13歩合 ▲11金 △同玉 

▲13香不成 △同金

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上記の手順まで 玉を追い詰めましたが

 

上図から

次の11手目で 注意点があります。

 

 

図:11手目▲21と (失敗図)

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△13同金に ▲
21と 

 

と王手してしまうと 

△12玉と上がられて 詰みません。

 

ここは注意が必要です。

 
 

図:10手目△13同金 ▲33馬

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33馬と 

馬を寄って王手するのが
上手い手ですね。

 

 

図:11手目▲33馬 △12玉 ▲22と

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作意手の最終手は ▲22馬でしたが

 

最終手は ▲22と でも詰みです。

 

最終手余詰 と言われていて

これはルール上 容認されています。

 

現代の詰将棋の書籍でも

しばしば見かけますね。

 

▲22馬・▲22と 

どちらを記載しても正解です。

 




 

:反転図

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いつもの 反転図からの詰みを観ていきます。

 
【詰将棋並べ】シリーズでは

初回から この学習を続けています。
 

手前の玉を自玉として

この自玉の 詰みのあるなしを

 

確認する練習です。

以下の作意手順を観ながら 同じように並べてください。 

 

詰め手順:

 

32と 13玉 12金 同玉 14香 

13歩(合)11金 
同玉 13香不成 同金

 

33馬 12玉 22と 

まで 13手詰


 

図:反転図からの詰上がり図

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自玉の詰みを 確認できましたか?

 

何度も繰り返して

 

手順を観ながら並べてください。

 

【反転図初形に戻して→また詰める】

 

これを繰り返してください。

 

 

手前の玉に詰みがあることが確認できました。

 

さて それでは

手番を手前として

この自玉の詰めろを外してみましょう。

 

 

図: △13玉

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△13玉としました。


玉の早逃げですね。

 

△13玉として わずか一路

攻め方の馬・と金から離れると

 

詰みません。
 

 



 

今日の勉強は終わりです。

 

手順は 憶えるまで 

繰り返してみて下さい。

 

お強い方は頭の中で動かして全部の変化を憶えてください。

 

自玉の詰みの確認も お願いします。

 

そうして「詰めろ」を 外す手もいろいろあるので

 

練習してみましょう。

 

 

例:

 

・△1玉 (玉の早逃げ)

 

 

 

上記は一例です。憶えておいてくださいね。

 

まだまだ 逃れる手がたくさんあります。 

 

 

お強い方はたくさん

詰めろを 外す手を探してみて下さい。

 

また一緒に勉強しましょう。


*用語に関連する過去記事



不完全作→待宵第34番



作意手順→待宵後集 第5番



限定合・非限定合→待宵 第45番



最終手余詰→待宵 第21番


 

 

局面作成

 

http://home.att.ne.jp/lemon/ogi/SituationFigure.html 様より

 

 

ありがとうございます。