今日の「詰将棋並べ」
勉強の準備は良いですか。
初めてのかたは 以下の過去記事で
学習の進め方をご確認下さい。
【ぴよ将棋】さんを使った学習方法も
併せてご参照ください。
ご自宅の盤駒で じっくりと
職場なら マグネット盤などで
並べてくださると嬉しいです。
今回も続いてコツコツと
江戸時代の作品から勉強していきます。
天野宗歩のお弟子さん「渡瀬荘次郎」
Wikipediaさんより
渡瀬荘次郎著 「待宵(まつよい)」から
「江戸慶応」の時代の詰将棋です。
今回は「待宵 第30番」です。
テーマ:
・玉の逃げ道を塞ぐ
・角の特性
・非限定合について
・以遠打(いえんだ)
図:初形
詰め手順:
61角 同玉 51角成 72玉 82金
同玉 84香 83銀合 62飛成 72香合
71銀 92玉 72龍 同銀 82銀成
まで 15手詰
上記の詰め手順を観ながら
繰り返し並べて 憶えてしまいましょう。
ここでは 自ら考えて解く必要はありません。
観て・並べて【憶える】ことが
この「詰将棋並べ」での学習方法です。
解答見ないで解くという
腕試しは お手持ちの問題集で
お願いします(^^)。
図:詰上がり図
詰上がり図です。
この図から 初形に戻せますか?
初形に戻して→詰めて→また初形に戻して
練習して 繰り返してみてください。
憶えてから少し月日が経っても
詰みが観えるまでに憶える事が肝心です。
初めは できない!と思っていても
駒を動かしているうちに 手が憶えてきます。
この形からは 確実に詰ませられるように
感覚と手筋を憶えてしまい
実戦で 使えるようになっておきましょう。
では
ある程度出来るようになったら
以下へ進んで 詳しく観ていきましょう。
【学習・研究】
・初手の研究
作意手は 初手▲61角でしたが
初手 ▲82金と
【送りの手筋】から 飛車が成っての
「一間龍」はどうでしょうか?
図:初手 ▲82金
上図
ごくごく自然な「送りの手筋」です。
図:初手▲82金 △同玉
▲82金には△同玉の1手です。
図:初手▲82金 △同玉 ▲62飛成 △83玉
この83玉が良い手で
玉は上に広く 捕まりません。
*ここの「83の地点」
「逃げ道をふさぐ手」が必要ですね。
盤面を 初形に戻してください。
図:初手 ▲82金 △同玉 ▲84香
▲82金 △同玉に
▲84香と 上から塞いだらどうでしょうか?
観てみます。
図:3手目▲84香 △83銀(合)
▲62飛成 △72香(合)
3手目▲84香と
83の地点から脱出する経路を塞いでみました。
玉方はその後 △83銀として
銀の利きで
72の地点も守備範囲に入れながら
受けてはみましたが
図:6手目△72香(合)▲71角 △92玉
▲72龍 △同銀 ▲82香成(ないし82角成)
上図まで 詰んでしまいました。
実は
初手 ▲82金 △同玉 ▲84香には
83に合駒を打ってはいけません。
*▲84香のあと △71玉と引いておけば
攻め方には角しかなく
詰みません。
*ぜひ 盤駒でご確認をお願いします。
詰まないことの 確認も 練習をお願いします(^^)
憶えてしまいましょう。
*この84香は重要な手です
今の条件では詰みませんが
片隅に置いておいてください。
後で出てきます。
【初手の研究 まとめ】
初手「▲82金」は
・△82同玉 ▲62飛成には △83玉で詰まない。
・△82同玉 ▲84香には △71玉で詰まない。
従って 冒頭に示した
▲61角が初手になります。
盤面を 初形に戻してください。
図:初手 ▲61角
作意手順の ▲61角!です
これは
【83の地点には逃さない】という手で
好手です。
角の特性が活かされています。
これもしっかり憶えます。
図:初手▲61角 △82玉 ▲83金
作意手順では ▲61角には △同玉でしたが
上の手順のように 82へ逃げると
角の利きがあり
玉は83の地点へは逃げられないので
▲83金とすれば以下 詰みになります。
*▲61角 △82玉 ▲62飛成でも
簡単に詰みですね。
従って ▲61角には△同玉しかありません。
図:初手 ▲61角 △同玉
上図
【玉は下段に落とせ】の 寄せの格言通り
基本の手で 玉を下段に落としました。
図:初手▲61角 △同玉 ▲52金
上図 3手目▲52金は自然にみえますが
これは失敗です。
図:3手目▲52金 △72玉
金を取らずに するっと△72玉と逃げられ
図:3手目▲52金 △72玉 ▲62金 △83玉
最後の △83玉で詰まなくなりました。
せっかく 初手▲61角 △同玉と
寄せの格言通りに下段に落としても
普通に見える 「▲52金」では
玉を上部に逃がしてしまいます。
*83の地点が重要です。
盤面を 初形に戻してください。
図:初手▲61角 △同玉 ▲51角成
作意手順の「▲51角成」が好手です。
遠くに居た角が成ってきます。
是非憶えておきましょう。
銀の利いているところですから
盲点でしょうか。
この▲51角成に△同玉は
頭金 ▲52金で詰みです。
△同銀 も以下で観ておきます。
図:初手▲61角 △同玉
▲51角成 △同銀 ▲72金
▲51角成に △同銀も
飛車の横利きが通って
▲72金で詰みです。
よって ▲51角成には 逃げるよりありません。
盤面を 初形に戻してください。
図:初手▲61角 △同玉 ▲51角成
△72玉 ▲82金
▲51角には △72玉と逃げるしかありませんが
ここでさらに好手がでます。
5手目 ▲82金です。
【送りの手筋】ですね。
図:5手目▲82金 △同玉 ▲84香
51に馬を作ってからの
▲84香までが 良い手順です。
送りの手筋のあと 一間龍としたいところを
先に 逃げ道を塞いでしまいます。
上に玉を逃がさない香ですね。
*待望の84香です 前述との違いは
51に馬がいる事です。
さて
【以遠打・いえんだ】
この香は
▲84・85・86・87・88・89の
どの地点に打っても
以下 同じ手順で詰みなので
(以下 遠くに 打っても同じ手順となる)
以遠打(いえんだ) と言います。
*非限定打ともいいますね。
=香車は上記のどこから打っても良いからです。
当ブログの 詰将棋並べのシリーズで
ずっと取りあげていますので
読んでくださったことのある方には
もうお馴染みでしょうか。
玉方は この香には
*51に馬がいるため
71玉と下がると詰みです。
*振り返ると
事前の▲61角~▲51角成が
上手い手でした。
今度は「51に馬がいる」ので
84香に71玉と逃げても
=71玉には62飛成で詰みです。
(再確認 51に馬が出来て居ます)
続けます。
図:7手目▲84香(以遠打)△83銀 ▲62飛成
72の地点へも守りを利かせて
△83銀と合駒しますが
攻め方は構わず ▲62飛成です。
ここで 一間龍の形となりました。
図:10手目 △72香(合)
▲62飛成には △72香合としましたが
この合駒は
香・桂・銀・金・角・飛
歩以外(2歩に注意)
どの駒で合駒をしても同じなので
これを「非限定合」といいます。
合駒は なるべく
価値の低い駒から考えてみましょうと
この「詰将棋並べ」ではしているので
今回は香を選択しました。
*記事中に出てくる 用語については
関連する当ブログの過去記事を
記事の最後にリンクで貼っていますので
よろしければそちらもご確認ください。
続けます。
図:10手目△72香 ▲71銀 △92玉 ▲72龍
一間龍で合駒をされました。
攻め方の駒台には銀があります。
11手目▲71銀 これも手筋ですね。
ようやく詰みが観えてきました。
最後まで みましょう。
図:11手目▲71銀 △92玉 ▲72龍
△同銀 ▲82銀成
10手目△72香合に
手筋の▲71銀から〜▲72龍として
84の香車の利き筋を通すのが絶妙です。
玉方は △72同銀よりありません。
▲82銀成まで 詰みです。
*最終手は ▲82香成でも詰みです。
=最終手余詰といいます。
最後手は許容されていますが
攻め方の駒台に 香が余っているので
(10手目の合駒が駒台へ余ります)
これは【不完全作品】とも言います。
江戸時代の実戦勉強向け作品で
実戦・終盤の学習として考えて
余詰の定義など 含めて学習し
手筋・詰み筋は 憶えてしまいましょう。
図:反転図
いつもの 反転図からの詰みを練習します。
この手前の玉を自玉に見立てて
自玉の詰みがあるなしを
確認しましょう。
この練習をしっかりとしておいて
実戦でも
終盤戦での自玉の詰みのあるなしを確認する際
役立ててみましょう。
では 以下の詰め手順を観ながら
反転図から 詰めてみます。
詰め手順:
61角 同玉 51角成 72玉 82金
同玉 84香 83銀合 62飛成 72香合
71銀 92玉 72龍 同銀 82銀成
まで 15手詰
図:反転図からの詰み上がり図
できましたか?
手前の(自玉に)
詰みがあることがわかりました。
では 手前を手番として
この自玉にかかっている
詰めろを 外してみましょう。
盤面を 反転図初形に戻してください。
図:反転図初形から △83玉
玉の早逃げです。
△83玉と
広いところへ逃げて これで詰みません。
持ち駒も使っていないので
効率が良いのが利点です。
欠点は 実戦で相手方の持ち駒が豊富だと
この玉は広いですが
薄く見えますし
いきなり詰まされてしまうかも知れません。
図から詰まない読みが必要です。
もう一つ 詰めろを外す手を 観てみます。
図:反転図初形から △71金
しっかりと
71へ金を打って これで詰みません。
この手の利点は 堅いことです。
欠点は
持ち駒の金を投入しますので
実戦で 相手方を攻める際に金が必要な局面だと
先ほどの△83玉の早逃げの方が良かった
ということになります。
実戦では その局面をみて
選択していきましょう。
少しずつ日々 練習ですね。
今日の勉強は終わりです。
手順は 憶えるまで
繰り返してみて下さい。
お強い方は頭の中で動かして、全部の変化を憶えてください。
自玉の詰みの確認も お願いします。
そうして「詰めろ」を 外す手もいろいろあるので
練習してみましょう。
例:
・△83玉 (玉の早逃げ)
・△71金 (しっかり金を打って堅陣とする)
上記は例です。 憶えておいてくださいね。
まだまだ 逃れる手があります。
お強い方はたくさん
詰めろを外す手を 探してみて下さい。
また一緒に勉強しましょう。
【用語に関連する過去記事】
一間龍、以遠打→ 待宵第22番
送りの手筋→待宵第28番
限定打・非限定打→待宵第24番
限定合・非限定合→待宵第45番
不完全作→待宵第34番
最終手余詰→待宵第21番
合駒について→将棋の勉強・羅針盤⑧
局面作成
http://home.att.ne.jp/lemon/ogi/SituationFigure.html 様より
ありがとうございます。