必至問題並べ】その ②

 
 


この 必至問題並べも「詰将棋並べ」と

同じ手法で 学習を進めていきます。

初めての方は まず 下記の過去記事で

学習方法を 確認してください。


 

ぴよ将棋さんを使った 学習方法もご参照ください。


盤駒を使って 記事中に出てくる図を観ながら

解説を読み 並べてください。

 

ここでは

問題は 解かずに

並べて 憶えることにいたしましょう。


 記事は

必至と 詰めろの違いを 理解できていることを

前提として 書いています。

自信がない方は こちらを参照下さい。

級位者の方向けに 出来るだけ 易しく書いています。




六段 渡瀬荘次郎 原作 


六段 木見金次郎 講解


大阪屋號斯文館:大正4年(1915年)刊行

将棋必勝法 より 問題を引用しています。



*【必至】と【必死】


どちらの表記でもよいのですが

当ブログでは


必死の「死」という文字を

なるべく使わない方針です。 


記事中は 【必至】で統一いたします。


なお 原著表記のまま 


原著に忠実に記載する必要があるため

「必死」としている箇所があります。ご了承下さい。



今日はまず

重要な事項を 書いてみたいと思います。

 


必至問題を解く初学のころ

自分が感じたことです。

 



【自分が初学時代に必至問題へ感じたこと】



 

・たとえ1手必至でも  必至問題は  

正解図からの  
精密な読み必要である。

 
正解図が「必至であること

確認
作業重要。

 


・本当に必至なのかは

受けの手  全てを発想・想起
できないと

正解
で良いのかが 分からなかった。




 

*詰将棋の場合は

最終手が 王手なので

詰んでいることが 理解しやすく

正解からの納得
早いです。


当ブログの 必至問題並べでは

後手(玉方)の

多くの 受けの手を含めて 解説します。

つまり 記事を読めば

その問題の 受けの手の概ねが

読みきれるように書いてみます。

詰将棋並べの記事でもそうですが

具体的に 【読む】という作業を

盤駒を動かして 記憶していきます。
 

もちろん

先手【攻め方】の手も同様です。

記事を観て 読みの作業に ぜひ慣れてください。 
 
確認作業の トレーニングです。


ここでひとつ

当ブログから  
この用語を


提唱します。


 

余必至(よひっし)

(*自分の創った創作語です)


詰将棋には

攻め方が 手を変えても 詰む

【余詰 よづめ】 という用語が存在します。 




必至問題にも

攻め方が手を変えても

必至がかかる場合があるのです。

しかし そのことを指す用語は

存在しないと思われるので 

今後 当ブログ記事では

余必至 という用語を 使用していきます。 



 

*「長い詰より短い必至」と

よく言われますが

 
 

たとえ1手必至でも その図からの

読みの幅は


詰将棋と同じく 広いものです。
 

 

「長い詰と短い必至の両方の勉強が必要」

と 
自分は お勧めします。

 


*あくまでも自分の個人的な感覚や意見です。

では 本日の学習に進みます。 

 

 



 

【学習のテーマ】

 
 

・1手必至を 正確に判断する

 

・余必至 がある


=先手(攻め方)が手を変えて 


もう1つ 必至になる手順がある

 
 

*必至問題は

必至に 至るまでの手順が →解答です。


(作者の意図する解答手順が 作意手順)

そして 最終手までの図 つまり

【必至がかかっている図】からは

必至の状態ですから

後手(玉方)が どう受けても

先手からの 後手への詰みがあるのですが

 

その詰みは 駒が余っても良いのです。



近代の詰将棋の問題はキレイに詰みます。  


ですが これは詰将棋問題ではありません。

必至図からはとにかく 


後手玉を詰ませばよし です。


詰まし方の手順も 問われません。




必至図から

ず 詰にっているかの

確認としての 詰手順は自由。

詰めばよし。




必ず と 至るで 必至です。

【正確な 必至状態の判断の仕方】を

ぜひ 身につけましょう。

 

 




 

将棋必勝法より「必死 3番

 
 

図:初形


86E46BF8-8386-4FFF-AF7E-7883885B1314


 

「必至への手順:作意手」


 

  ▲34銀 まで 1手必至

 

 

 

 

:必至図 ▲34銀


EFAEDE89-FAEC-4CB1-8144-914BB4F2B665


この1手で △後手 には受けがありません。


 

* 手番は △後手へ移ります。


 

*必至について 

 

このシリーズでの繰り返しになりますが

 

最終手は 王手ではありません。



 

1手必至なので 

上記の1手は 王手ではありません。

 

上図 この後は 後手からの受けがなく

 

どのように受けても 後手玉は

ず 詰みに ります。
 

 

 

【学習・研究】


 

「必至問題の前提条件」をおさらいします。 

 

初形図は 詰みません。

 

=王手の連続では 詰まないということですね。

 

 

まず初形を観て

詰まないことを

しっかり 読みとりましょう。

 

 

では 初形図で

後手玉が本当に詰まないか

確認するところから 

下記に書いてみますので

 

並べて 憶えてください。

 

お手持ちの必至問題集でも 

その図には 
詰みはないか?


と 読む習慣が大事です。

 

図をみたらまず

詰みはないか? まず
詰まそう

とする習慣を持ちましょう。

 

必至問題だから この図は 詰まないと

切り捨てて考える習慣は

 

実戦へは 悪影響です。

 

詰みはないか?なぜ詰まないかを 常に考えましょう。



 

その局面に 詰みがないことを

確認できる事も 
実力です。




図:初形図

his2-1,24

初手で 必至をかける手を見つける前に

まずは 初形図に詰みがないかの 確認です。

この初形図から 詰むとすれば

王手ができるところが 初手になるはずですね。

上図からは 

▲15銀打
▲25銀
▲15銀引(24の銀が15へ移動)

の 3通りからしか 王手ができません。

(▲13銀成や ▲23銀不成は 当然ながら玉を逃します)

これらをまず観ていきます。

*銀の符号は 大丈夫でしょうか(^^)?





    

 

:初形図から 初手 ▲15銀打

 

CFF4C0F3-865B-4778-ABC4-DBC6CC04125D


まずは▲15銀打から

詰まそうとしてみましょう。

 

 

 

 

:初手15銀打 25玉 26銀打 34玉

 

2DF4A692-B54E-4666-A62B-9FDAAC64FB70

 

連続で王手して

詰まそうとしましたが

 


 

:5手目▲35銀打 43玉

 

ACE2CB67-CC37-42E1-AFC8-5330DCB68F3C

後手玉は

 

するすると 銀の王手をかわしながら

 

43まで 逃げ切ってしまいました。

 

この上図で ▲44銀と

金を取っても 

同玉とされると 

 

後は 先手の金1枚の持ち駒では詰みません。

初手▲15銀打は 詰みませんでした。 

 

盤駒でご確認をお願いします。


ここでは △43玉という手を 憶えてください。



盤面を 初形に 戻してください。

 
 

:初形図から 初手▲25銀

 

931A69C7-F1B0-4FF9-9FA7-5D8855B0D7E8

次は 初手▲25銀をみてみます。

これも王手ですね。


 

:初手▲25銀 同玉 26銀 

34玉 35銀打 43玉

 

46742DAD-FCCF-411C-86B7-6840CEA914A4


こちらも 43の地点へと

逃げ込まれてしまいました。

 

詰みませんでした。

もう一つの初手▲15銀引も 逃げられてしまいます。

盤駒で動かして 確認してください。 

 
上記より
 

将棋必勝法 第3番の 初形図には

詰みがないことが確認出来ました。

 

 

では 

初形の図に「必至」をかけてみましょう。

 

 

 

作意は 34銀の 1手必至でしたが

 

その他の初手で 必至がかかるかどうかを

 

みてみましょう。

 
盤面を 初形に 戻してください。

 

:初手 ▲26銀

 

6C969670-FB9B-4848-9616-476A44C575DC

初手 ▲26銀と 

詰めろをかけました。

先手に 続けて 手番があれば

15から 持ち駒の銀を打つか

 

15銀引としても 詰みの図です。



この▲26銀は 自然な手に観えますね。


 

しかしながら

上図で 手番は △後手にあります。

 


▲詰めろをかける→△(後手受けなし)

= 必至  ですから


次で後手に 受けがあれば 

まだ必至ではありません。
 

 

初手26銀 24歩

 

25230745-521A-452D-ABB3-AE8B59F92036


▲26銀には △24歩と

 

24の銀を 歩で取り去り 

23へ 玉の逃げ道を

 

広げてきました。

 
△24歩が当然ながら 好手です。

 
続けて 観ていきます。 

 

:初手26銀 24歩 15銀打 23玉

 

F64C569E-F043-485F-BC51-066919D7DD2E


上から 銀を打って追いましたが

 

23玉までで 玉は逃げ切りですね。

 
それならばと 


23玉を 防ぐ手を考えてみます。


上図から 2手戻して 


△24歩までの図にしてください。
 

 

図:初手26銀 24歩 32銀


41E05511-FABC-4D8E-A99D-AB8FA92E5B8C


先手は なんとか必至をかけようと

 

3手目 ▲32銀としました。

 

上下の銀で 逃げ道を狭くして

玉を 上下から しばったのが

 

上図です。

*玉の逃げ場を 狭めようと

詰めろをかけることを 将棋では 

縛る
  と 表現することがあります。

後手は ここで受けなければ 次に

▲23銀打か ▲15銀打で 詰みです。
 


上図は 必至でしょうか?


重要な局面です。

 

後手に この両方を受ける手があるか

 調べてみます。
 

 

図:▲32銀 △23桂


917E33A1-026E-4392-9E27-EBA0EBB12CC6


△23桂と受ける手がありました。

▲23銀打 の スペースを

自分の桂馬で埋めて

 

15の地点には その桂馬の

駒の利きがありますから

先手からの詰みは なくなりました。


この△23桂は

 

上下の 両方からの銀打ちを消した好手です。

 
 

ぜひ 憶えてください。

 
 

ここで△23桂以外の受けだと 

後手は 詰んでしまいます。

 
先手は 続けて 詰めろをかけていきます。

 

図:4手目 △23桂 16歩


his2-12

 

△23桂に ▲16歩としました。

先手は次に 

 

▲15銀打 同桂 同歩までの詰みを狙って

 

頑張りますが

 

ここでも 後手には

良い受けがあります。

 

 

図:5手目▲16歩 55飛


3FA14E1A-A51A-4668-867C-1E95F42A8FBF

△55飛と受けました。

 

飛車の横利きで 15の地点までを

受ける手です。

 

好手です。

 

この飛車までで

後手玉には 必至がかからないことになります。

 
確かめてみましょう。

 

 

図:△55飛 15銀打 同桂 

同銀 同飛 同歩    同玉


F2613A81-DFBC-40F8-9B20-32350A247ABB

点検してみます。

 


上の手順のように

15の地点で全部 精算してみましたが

 

上図では 詰みがありません。

 

精算:ある地点に駒を打って


その地点で 同金 同金 同玉

 

などの駒のやりとりをして


駒を全部 交換  取り合う 取ってしまうこと。


先手の持ち駒が
 

飛車と桂馬では 

有効な
王手も難しいですね。



*玉方の受け

「23桂」と「55飛」を憶えてくださいね。

 


盤面を 初形に 戻してください。 

 

図:作意の必至図:▲34銀まで


0D9CD6E7-183C-42B8-88F9-E46557BC949A

・初形図から 詰みなし

・ 初手▲26銀からは 必至にならない

 
ここまで確認してきました。
 
 

上図は 作意の▲34銀までの図ですが

 

この図から 後手玉に

きちんと 必至がかかっていることを

 

研究しておきましょう。


ここが重要です。

 

*必至図なので 受けがありません。

 
= 後手が 2手目で どう受けても

必ず詰みがあります。
 

 

:▲34銀(必至)から △24玉

 

 

BC0522A4-4FFB-4FC5-AB65-6EFE94F1E819

 
△24玉として

先手の銀を一枚外しました。 

 
続けます。 

 
 

図:初手▲34銀 24玉 25銀打 

35玉
 36歩


89EB9246-ED5F-46C6-A12D-D41B05AB2911

▲34銀に △24玉の受けは

上記の手順で 詰みました。

 

 

:初手34銀 24玉 25銀打 

15玉
 16歩

 

A3D8BD54-33CB-4232-9049-C5CB777800CF

上図

4手目で △15玉と逃げても 

▲16歩 または▲16銀でも詰みです。

 


必至図からの 後手(玉方)の対応には

 

先手(攻め方)としては 

とにかく 詰ませばよく 

手順は ▲16歩でも▲16銀でも

 

どちらでも良いのです。



ほかの 後手の受けも観てみましょう。


盤面を 初形に 戻してください。 

 
 

:初手▲34銀(必至)△24歩

 

7900684C-D0FE-4A9C-A9F5-C3D03107E533

 

▲34銀に 

△24歩と 銀を歩で取りました。

 

上図からも

 

詰みがありますね。
 

 

:3手目▲23銀打 15玉 26銀(ないし16銀)
 

 

F963C328-4BB2-47E4-A571-B63C93D03803


上記の手順で 詰みです。

 


*23の地点に打った 銀が利いています。

 


初手の▲34銀が やはり好手ですね。




盤面を 初形に 戻してください。

 
 

:初手▲34銀(必至)△34同金

 

AC5D70C2-031D-455A-B5F5-6173DB33557B

 

初手 ▲34銀に

今度は △同金としてきました。

 

これにも易しい詰があります。

 

 

:初手▲34銀 同金 

15銀打 25玉 26歩(ないし26銀打)

 

his2-18

このように 並べ詰みです。

 

 

これで

▲34銀(詰めろ) →△受けなし 

= ▲34銀 まで1手
必至


と わかりました。

 




 

:再掲図 初形 

 

his2-1

作意の▲34銀 まで 1手必至は

これで しっかり 確認できました。



実は この問題は もう一つ

 

別の初手から 別の必至がかかるのです。

*冒頭で お示しした 

当ブログで使用する創作語 

【余必至】があります。
 

 

その 余必至も 

きちんと研究しておきましょう。

 
 

 

図:初手から▲15銀打 25玉 43銀 

  まで  3手必至 

  

【余必至図】

 

F1C7BD61-75B8-48D7-A3B3-1C38B556CB84


将棋必勝法の

書籍の中では 触れられていませんが

 

上記の手順でも 必至です。

 

3手の攻防なので「3手必至」といいます。

 

攻め方が手を変えても

 

詰むことを 

詰将棋では 余詰 というので


 

「余必至」と名付けました。


 

*「余必至」は自分の創作・造語  です(笑) 

必至には 該当する用語が存在しないので ・・

 

では この3手必至が  本当に必至なのか

確認してみます。
 


 

図:余必至図から 4手目△24歩 ▲26銀打


C0C71152-B137-437F-B936-3D73ACFCFA9C


余必至図から 

△24歩には ▲26銀打で 

簡単に詰みです。

盤面を 2手 戻してください。

 

図22 余必至図から △43金


870B4458-E6DD-4CB4-AC1C-69078990C702

今度は

 

玉の退路を防ぐ 43の銀を

金で取ってきました。

 

この△43金にも

易しい詰みがあります。

 

 

図23 余必至図から 

△43金 ▲36銀 34玉 35銀引

 
 

BB86A385-D13A-4811-AC03-5831BEBA1B82

36銀に気がつけば 易しい詰みです。

 

実戦で あわてて 

△43金に

 

▲26銀としないように 注意しましょう。

 

▲26銀ですと そのあと

△34玉に ▲35銀引  △45玉と

逃げられてしまいます。

 

盤面を 余必至図に 戻してください。
 

 

:余必至図から △36飛

 

F5AAD501-F4CF-4574-8BD3-233A46EB9E64

上図

 

△36飛と 強硬手段の受けにきました。

 

この飛車は ▲同歩なら 

△同玉と 歩を取って逃げだそうという意味と

 

先手が この飛車への対応を間違えば

逃げるという意味の

無謀ではありますが そういう手です。


ここは しっかり 詰めてしまいたいものです。

 

 

:△36飛 ▲26銀打 同飛 同歩

 

4CCEBE4D-E09E-4536-B679-5D4A7B8DD054


上記の手順で 詰みです。

 

▲16銀だと △同飛 で

逃げられてしまいますので

 

必ず ▲26から銀打 です。

 




盤面を 余必至図に 戻してください。 

 
 

図:余必至図から △35金


1402DCDA-EC76-48F4-87B6-7DA3579A5BEB

上図

△35金と

1つ斜めに 上がってきました。

 

これは簡単に詰む と思いますが

 

慎重に 詰ませます。

 

 

:▲16銀

 

679CB9AD-B6DE-4771-9F08-264BB90C29B3

△35金には

 

▲16銀と ここへ打てば 1手詰みです。

 

その他 

▲26銀打 △同金 ▲同銀 △24玉 ▲25金

としても詰みですが。

 

難しく詰める必要はありませんね。

 

初手▲15銀打→△25玉(受け)→▲43銀


→△(受けなし) =3手必至(余必至)



しっかり 確認できました。



必至図から

 

受けがないかを探し

読むのが 必至問題です。


当ブログの 【必至問題並べ】では

受けの手は ご自身で読まなくて良いです。

記事中に 記載していますから 



盤駒を動かして 並べて

確認の方法や 手順を憶えてください。


 


 

 

今日の勉強はここまでです。

 

 

今回の問題は

作意は 1手必至でしたが

 

先手(攻め方)が手を変えても

必至をかける事ができたので

 

3手必至 の余必至(よひっし)がありました。 



*このブログでの造語です。

 

この必至を

「余必至」として 研究してみました。

 

 

1手必至も

上記の手順・攻防 は

全て 憶えてしまいましょう。

 

憶えた  あれこれ 全て

ご自身の実力です。




繰り返しになりますが


必至問題のすっきりしない点は

必至がかかった正解図でも

 

いろいろな受けがあって  

その全部を 詰まさなければ


自分にとって 必至図と言えない事です。

 

学習書・問題集でも

正解図での受けを 盤駒で取り組んで

 

解説に 書いていない順まで 自分自身で

受けの手  
全部を 調べ 勉強し

納得するまで学習してこそ

 

はじめて 自分にとっての


必至図の 実力養成になる分野です。

 

級位者の方が 苦手に思っておられる気持ちは

理解できます。 

お時間のあるときに 少しずつ

無理なく 続けての学習をおすすめします(^^)
 

また一緒に勉強しましょう。

 
用語に関連する過去記事

精算→待宵第34番



 

局面作成

 

http://home.att.ne.jp/lemon/ogi/SituationFigure.html 様より

 

 

ありがとうございます。