今日の「詰将棋並べ」の勉強。
準備は良いですか。
初めての方は まず
以下の過去記事をご参照ください。
ぴよ将棋さんを使った学習方法もご参照ください。
ご自宅の盤駒で
職場のご休憩の時間なら
マグネット盤などで
並べてくださると 嬉しいです。
今回も 続いてコツコツと
江戸時代の作品から勉強していきます。
天野宗歩のお弟子さんの 渡瀬荘次郎
Wikipediaさんより
渡瀬荘次郎著 待宵(まつよい)から
「江戸慶応」の時代の詰将棋です。
今回は
「待宵 第46番」 です。
【学習のテーマ】
・初手の角打ちの場所
・銀という駒の特性
・余詰について
・吊るし桂
図:初形
詰め手順:作意手順
33角 同角 22銀 同玉 31銀
同玉 32銀打 22玉 23桂成 11玉
21銀成 同玉 32成桂 11玉 23桂
まで 15手詰
図:詰上がり図
毎回 同様の手法です
繰り返し 詰め手順を観ながら
並べて 憶えてください。
盤駒で 初形図を作成し
そうして詰める→また初形を作成する
これを繰り返して
憶えてしまいましょう。
【学習・研究】
初手が インパクトのある詰将棋です。
この1手を憶えるだけでも 良いと思う程の
好手です。
図:初手 33角
上図
玉から1つ離して 33角と打ちます。
ここは 玉方の桂馬も利いている場所です。
図:初手33角 22合(図では金合)
23桂不成
初手の 33角には
22に合駒をすると
23桂不成で 詰みです。
これは 詰みの基本手筋の1つで
吊るし桂 といいます。上図。
*22への合駒は
どの駒を合駒にしても
23桂不成で 詰んでしまいます。
「初手 22角の研究」
初手の角打ちは 33からとしましたが
玉にくっ付けて
22角とすると どうなるでしょうか?
観てみます。
図:初手 22角
初手 22角への対応は
同角か 同玉です。
初形図の 駒配置で
玉方の角が 55いる点に
注目してください。
図:初手22角 同角 23桂不成
初手22角に 同角は
角の頭が丸い(=前に利きがなく、 23の桂馬を取れない)
ということもあり 23桂不成で 詰みです。
*もしこの角が 55ではなく
77や88 、99の
敵陣に 配置されていたら
角が成り返って 馬になれますから
▲22角に △同角成とできて 詰まないのですが
初形での配置は 55の地点でしたね。
次は 22角に 同玉を観てみます。
盤面を 初形に 戻してください。
図:初手22角 同玉 23銀
初手22角に 同角は詰んでしまうので
同玉と取りました。
玉方は 上図
23銀と 王手をしていきます。
図:3手目23銀 33玉 34銀打
24玉 25銀打 35玉
攻め方は 持ち駒の銀を どんどん使って
王手していきますが
するすると 上に
逃げられてしまいました。
33の地点からの 玉の脱出を
横に 駒の利きがない銀では
防ぐことが できませんでした。
・銀の特性
実戦なら ここで
金が一枚でもあればなぁ と思う瞬間です。
従って
初手22角は 同玉で
以下は銀で追っても 詰みませんでした。
初手は「33角」です。
*初手「44角」は 22角と同様に
33の地点から
するする 上に逃げられてしまいます。
初手44角には 同角 22銀 同玉
23銀 33玉 34銀打
上に やはり逃げられてしまいます。
盤面を 初形に 戻してください。
図:初手 33角 (再掲)
というわけで
初手の角は 33の地点が良いのです。
33へ 玉方の駒を呼び寄せて
玉の脱出路を
塞いでしまおうという意図があります。
作意手順では 初手33角に 同角でした。
33角には 同桂とも できますね。
これも調べておきます。
図:初手33角 同桂
上図
初手33角に 同桂としました。
図:初手33角 同桂 22銀 同玉
23銀 11玉 22銀打
33同桂とすると
攻め方は 持ち駒に銀が3枚ありますから
22銀と捨てて 同玉から
銀を2回打てば 詰みです。
作意手順より 早く詰んでしまいました。
盤面を 初形に 戻してください。
図:初手33角 同角
したがって
初手は 33角
玉方の 対応は 同角となります。
図:初手33角 同角 22銀
角を33の地点へと呼び寄せて
33から 玉を脱出させないようにしてから
銀を 22へと打ち込みます。
初手から素晴らしい攻防です。
*この22銀は 同角と取ると
23桂で詰みなので
22銀には 同玉の一手です。
図:3手目22銀 同玉 23銀 11玉
上図
22銀に 同玉としたあと
23銀と上から銀を打ちました。
これは失敗です。
11玉と逃げられて 以下
22銀打としても
同角 同銀成 同玉と進みますが
攻め方の 持ち駒 角1枚では 詰みません。
盤面を 初形に 戻してください。
図:初手から33角 同角 22銀 同玉 31銀
5手目 31銀が 好手です。
11玉と逃げたら
これまで何度も出てきた
23桂不成として 詰まそうという手です。
図:5手目31銀 同玉 32銀打
初手からの手順で
33の地点から 逃げ出せない玉方は
5手目の31銀を 同玉とするよりありません。
次の 7手目 32銀打が 利きます。
この 32銀打への
玉方の対応を 観ていきましょう。
図:7手目32銀打 42玉 43桂成
51玉 52成桂
32銀に 42玉と 5筋方面へ逃げるのは
43桂成が良い手で
上記手順まで 詰みです。
盤面を 7手目 32銀打まで 戻してください。
図:7手目32銀打 22玉 23桂成 11玉
32銀打に 42玉は
早く詰んでしまうので
22玉としました。
23桂成には 11玉と逃げます。
*注意:9手目で 23銀成としてしまうと
11玉で つかまりません。
上図のように 23桂成が 良い手です。
図:9手目23桂成 11玉 21銀成 同玉
23桂成には 11玉と逃げられて
一見 詰みには届かないように観えますが
上図
21銀成と 桂馬を入手する手がありました。
この21銀成には 同玉の1手です。
図:11手目21銀成 同玉 ▲32銀成
作意手順では 13手目は32成桂でしたが
32銀成でも 詰みがあります。
攻め方が 手を変えても詰むので
余詰があるといいます。
この 余詰の手順も 並べておきましょう。
盤面を 初形に 戻してください。
図:初手から
33角 同角 22銀 同玉 31銀
同玉 32銀打 22玉 23桂成 11玉
21銀成 同玉 *32銀成 11玉 22成桂
同角 23桂 まで17手詰
この 余詰手順も
ぜひ憶えてしまいましょう。
現代の 特別な趣向のない詰将棋作品では
この余詰があると
不完全作とされています。
昨今の
新しい詰将棋作品が掲載されている書籍では
みられない 余詰なのですが
これも 手順として
憶えていて損がありません。
江戸時代の作者も
詰の指南書というか
実戦のためになるように、という趣旨も
あったかと思います。
当時は 余詰には
あまり 厳格でなかったのかもしれませんね。
このように
攻め方が手を変えても
持ち駒が余らずに 詰みました。
*作意手順より 2手 長いのですね。
では 作意の 32成桂 で 詰みまでを 観ましょう。
盤面を初手から 9手目 23桂成まで 進めてください。
図:9手目23桂成 11玉 21銀成 同玉
*32成桂(作意) 11玉 23桂
冒頭で憶えていただいた作意手順ですね。
以上 15手詰でした。
図:反転図
いつものように 反転図です。
ここから
この自玉を 手順をみて 詰ませてください。
繰り返し 並べて詰ませて
反転図からの詰みにも 強くなりましょう。
自玉の詰みのあるなしの
読みの鍛錬にもなりますね。
詰め手順:作意手順
33角 同角 22銀 同玉 31銀
同玉 32銀打 22玉 23桂成 11玉
21銀成 同玉 32成桂 11玉 23桂
まで 15手詰
反転図での詰み 違和感なく詰みますか?
では今度は
この自玉の詰めろを 外しましょう。
手番を 玉方(手前)とします。
盤面を 反転図初形に 戻してください。
図:22金
22金と打ちました。
ここから 直接の王手は 23桂不成ですが
同金とされると その後 困りますね。
これで詰みません。
*ほかには 反転図初形から
22玉と 玉を早逃げするのは
詰みますか?詰みませんか?
結論は 22玉の早逃げでも 詰みません。
王手をかわして するする逃げていけます。
ぜひ 盤駒でご確認をお願いします。
*初手33角の素晴らしさを 味わって下さい。
今日の勉強は終わりです。
手順は 憶えるまで 繰り返してみて下さい。
お強い方は頭の中で動かして、全部の変化を憶えてください。
自玉の詰みの 確認も
しっかりとお願いします。
そうして「詰めろ」を 外す手もいろいろあるので
練習してみましょう。
*例:22金 (しっかり金を打つ)
その他 22玉 (玉の早逃げ)
上記は例です。 並べて 憶えましょう。
まだまだ 逃れる手があります。
お強い方はたくさん
詰めろを 外す手を探してみて下さい。
また一緒に勉強しましょう。
*用語に関連する過去記事
・吊るし桂→待宵第29番
・余詰→待宵第6番
局面作成
http://home.att.ne.jp/lemon/ogi/SituationFigure.html 様より
ありがとうございます。