将棋の勉強・羅針盤⑥

 

 

「詰めろ」  と   「必至」

(ひっし・必死とも書く)について

 



この2つは  学習する際

また  プロの中継の解説などを 観る際にも

しばしば 耳にする言葉です。

 



初学の方や  将棋の学習を始めたばかりの

級位者の方にとっては

「詰めろ」   「必至」

この2つの違いを きちんと 理解することは

重要ですが  なかなか難しいと思います。


今回は そんな皆さんが

この2つを きちんと理解できるように

記事を 書き進めていきます。


ここで 必至と 詰めろを

理解できた皆さんは

必至問題集  などの 書籍に  ぜひ

チャレンジしてみてください(^^)






 

【学習のテーマ】

 


・詰めろとは?

 

・必至とは?





簡単にいうと

詰めろ:対応をしなければ次に詰む状態・局面

必至:どう応対しても次に詰む状態・局面

のことです。

「〜を かける」と 表記されることもあります。


これらを かけられた側(ここでは△後手・玉方)

としては

詰めろなら:対応次第では

詰みから 逃れられるかも知れない

必至なら: 次に必ず詰まされてしまう状態


こうなります。



*必至と必死は  同意語ですが


必死は 「死」という 漢字が

自分には好ましくない気がして


ここでは 【必至】 という 単語で統一し 表記致します。


ご容赦願います。



*今後 必至の 古典名作問題も

機会をみて 取り上げたいと思います。

 

 

 








*連盟のHPでは【詰めよ】ともいうと記載がありますが

大山康晴15世名人の自戦記などが載っている

大山康晴全集では  詰めよ  という表記になっています。

昔は そう呼ばれていたようですね。


では 図を観ながら 学習していきます。




 
 

 

テーマA



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まずは上図を観てみてください。

 

手番は 手前の▲先手(攻め方)にあるとします。

 


上図は 今の状態では

ここから 詰将棋問題のように

直接王手をしても すぐには詰みません。

 
まだ【詰みがない】局面です。 



▲21金などと 王手しても

12玉と上がられてはいけません。

 

*「王手は追う手」になってしまいます。

 


このままでは

玉を上部へ逃がしてしまいますね。

 


ではここで▲先手は【詰めろ】をかけてみます。

 
*玉方の 対応次第では  

次に 詰みにならないかも知れませんが


(詰めろ)

詰めようとする手を指してみます。



テーマAより 23歩成!

 

 
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テーマA図 から 23へ歩を成った図です。

 

もし 手番がもう一度 攻め方にあるなら

金を打てば詰みですね。

 

=上図は  「詰めろ」  といいます。

 

詰めろをかけた ともいいます。

 

 

 

指し将棋のルールでは

お互い交互に指しますから

今度は手番が △後手(玉方)へ移りました。


さて

玉方は この「詰めろ」を  

持ち駒を 打ったり 玉を移動して

外すことが できますか?

=玉方に 【受け】はありますか?
 

攻め方は 次の手番で  

「12」 「21 」「22」の

いずれかの地点に 持ち駒の金を打てば 詰みですね。



上図で  実は


これらを全て 防ぐ受けは 玉方にありません。


どの様に受けても

 

次に 必ず みにので

上図は 
必至です

 

このように 


詰めろで なおかつ 

次には必ず詰む状態を

 

必至がかかったといいます。

 


 

詰めろ=次に詰まします:受けがあるなし関係ありません。

 

必至=詰めろがかかっていて :受けがない 

 

 

*ここでのポイントは 

詰めろも
 必至も  

こちらがかけた状態になると

 

その図での 手番(次に指す権利)は 

相手側(玉方)にあることです。

 

回連続では指せませんから 当たり前ですね。)



*もし自玉に詰みがあれば 詰まされれば負けです。



=詰将棋問題との違いです。

 

 
*詰将棋の問題図は その局面から


即詰みがあります。

手番は 攻め方にありますね。

そこが大きな違いです。

 

 

:テーマAより 23歩成 22金


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では 本当に▲23歩成として

必至がかかっているかを

 

確認してみましょう。

 
玉方は 22金と 受けました。
 

上図 詰みますか?

 
 

必至の図ですので 必ず詰みがあります。

 

 

 

:テーマAより 23歩成 22金 21金


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22金の受けに 「同と」と

攻めの拠点で清算しては 


同玉で 上に逃がしてしまいます。

 

ここは「21金」と打ちます。

 

*腹金という詰め手筋です。

 

玉のお腹に 打つ金ですね。

 

続けて 観てみます。

 

:テーマAより 

  23歩成 22金 21金!

 

 同金 同と 同玉 22金

 


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22金の受けには 21金以下

 

上の手順で詰みです。

 

上図が 詰上がり図です。

 

このように 詰みましたから

▲23歩成とした局面で

後手(玉方)はどのように受けても詰むので

「必至がかかっていた」

わかりました。


*22金以外の その他の受けも全て詰みます。


盤駒でご確認下さい。


では 次のテーマ図です。 

 

 
 

:テーマB

 
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上図は テーマA図と比べて

 

「と金」が 31にいません。

 

ここから「詰めろ」をかけてみます。

 

 

:テーマBより  ▲23歩成

 
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23歩成としました。

これは  

詰めろ=次に金を打てば詰み

ですが

テーマA図との違いは

ここから玉方には 受けがあります。

 

=必至がかかった状態 と言えません。



*上図はまだ【 詰めろ】 の状態です。 

 

 

 

:テーマBより 23歩成 22金


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テーマAには 「と金」がいて

 

どのように 受けても必ず詰みがあったのですが

 

上図は 同じように △22金と 受けられると


攻め方の 持ち駒の金1枚では  詰みません。

 

 

▲23歩成は 

テーマB図では「詰めろ」

 

テーマA図では「詰めろで  必至」 でした。

 

次のテーマです。 

 

 

:テーマC 

 

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では 上図でどう指しますか?

 

 

 

:テーマC より ▲22角成



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テーマC図から 直接 王手をしては

玉を逃がしてしまいます。

 

王手をしないで

 

じっと 22に角を成っておきます。

 

上図は 詰めろです。
  

 

それに加えて 受けがない状態になりました。

 

=必至です。

 

玉方がどこに何を受けても

 

攻め方は 次に や桂馬を打てば詰みですし

 

玉方は 一回の手番で

その全部を  受けることが出来ない状態です。

 

22角成と 

1手指して  必至の局面に追い込んだので

 


テーマC から 1手必至 と言います。



 

必至問題集では テーマAとC図は

 

「1手必至」の問題といいます。



*仮に テーマ図(問題図)から

3手(攻め方・玉方・攻め方)

をかけて必至の状態になれば  3手必至

7手の応酬で なら 7手必至といいます。 


また 機会をみて 紹介の記事を書きます。

 
 

テーマAとCからは 

直接 初手で 王手をすると 詰まないので

くれぐれも

 

玉を 逃がさないようにしてください。

 

じょうずに 必至をかけてください。

 

自分は  級位者の上級から 初段になって

そこからさらにした勉強として

 

*少し難しい・手数の長い

詰将棋の問題集に取り組んだことと

 

*詰まないときの寄せ方

 

*詰めろをかけて なおかつ

必至の状態にする練習も

 

必要でした。

 

これらは

段~段からそれ以上の昇段には


欠かせない学習と思いました。

 

では 次のテーマにいきます。 

 
 

:テーマD


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上図では どう指しますか?

 

 

 

 

 

:テーマDより ▲22銀


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テーマD図で

 

▲23歩成とした方が おられるかもしれません。

 

詰めろをかける手ですね。


ですが テーマD図には実は

すでに詰みがあります。


*必至問題に 詰将棋を混ぜておくのも

有効な勉強法です。

金子タカシ先生の名著「寄せの手筋200」にも

すでに詰みのある問題も

必至に混ざって 出てきます。

 

 

攻め方の持ち駒に

注意・ 注目すると

 

テーマD図からは 22銀以下の 詰みがあります!

 


常に 詰むか詰まないか?を

注意深く 観るようにしましょう。

 


もちろん 今までの流れで

類似図面なので  反射的に

 

「23歩成」としても

それほどまず
い手ではありませんが

 

 

実戦で もしここで自玉が詰めろなら

頓死(とんし)をくらって負けになります。

  

 

テーマD図からは

 

▲22銀 同玉 23金 21玉 22金

で詰みです。 

 

*22銀に  32玉も

金を打っていけば 詰みですね。

 

 
 

「必至問題集」を勉強するときの欠点は 

 

詰将棋の問題集ではないので

初手からは  詰まない図とわかっていて

 

取り組んでしまうことです。

 

「すぐに詰まない図だから  必至をかければ良いのだな」

 

と  決めてかかって  取り組んでしまえることです。



*詰まない事の確認を 怠りがちになってしまいます。

 

 
局面は 詰む・詰まないを


よく確認するようにしたいですね。 

 

 
最後のテーマ図に進みましょう。
 
 

:テーマE

 

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テーマE図は どう指しますか?

 


また その後の
読み筋は?

 

 

 

:テーマE より ▲23歩成

 

 

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テーマE図からは 直ぐには 詰みません。

 

うっかり 初手で

桂馬などで王手をして  逃がしてはいけません。

 
 

初手はじっと ▲23歩成

 

これは「詰めろ」です。

 


玉方が放置すれば ▲22金で詰みですね。

 

加えて 上図は 必至の状態でもあります。

 
 

本当に 必至の状態かどうか?は

 

玉方の  全ての受けを読み切る必要があります。

 

この【読み 】の作業は  

いつも 詰将棋並べでしていることと 同じ作業ですね。 



大体3手詰・5手詰・7手詰


くらいを自力で 解けることが

 

必至問題に取り組める 必要条件でしょうか。



全部の受け手を考え 思い描けるか?


浮かべられるか? も  必要です。



難しく考えることは ありません(^^)

コツコツ  理解が大切です。


続けて みていきましょう。

 

:テーマEより 23歩成 52飛


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持ち駒が豊富な玉方は

なんとか凌ごう(しのごう)とします。

 

52飛と

飛車の横利きで 受けようとしています。

 


しかし上図からも 易しい詰みがあります。

 


 

:テーマE図より 23歩成 52飛 33桂

 

 
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飛車の横利きには  桂馬を使った
 

33桂が 好手です。

ここから 

 

11玉には 21金

 

31玉には 41金

 

で詰みです。

 

同じようでも 33桂のところを 13桂としては

 

31玉とされ

4筋方面へ  玉を逃がしてしまいます。

 

 
52飛の受けは 詰みましたが

ほかに 玉方の受けは ありますか?
 

 

:テーマEより 23歩成 22金 33桂

 


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先ほどは 52飛と受ける手順をみましたが

 

22金も点検しておきます (上図)。

 


やはり 33桂馬が良い手です。

 

この▲33桂を 

 

同金なら 22金で詰み

31玉には  41金で詰みです。 

 

11玉とされても

▲21金 同金 同桂成 同玉 22金までの

 

易しい詰みです。

 

 

 

 

:テーマEより 

 23歩成 22飛 33桂 11玉 21金

 


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23歩成に 22飛の 受けにも

 

▲33桂から 21金とすれば詰みです。




その他 角  銀 桂馬 香車 歩での受けにも


易しい詰みがあります。

テーマE図から ▲23歩成として

必至の状態ですね。

一手必至の問題でした。


盤駒でご確認をお願いします。

 





 

 

今日の勉強はここまでです。

 

 

「詰めろ」とは?

 

「必至」とは?


理解の 一助になれば幸いです。

 
局面をみて 詰みがあるかないかを確認し

すぐに 詰みがなければ

詰めろを かけてみる。 必至になるか確認する。


 

また「詰みがある局面では

似ている図 でも


手拍子で(=勢いでパッと)指さないで

しっかり 「詰め」てしまいましょう

 

最後に

これは 自分が指導員として関わって 

一緒に勉強している 上級位者の方が

「寄せの手筋200」を

初めて一冊を通して学習し終えた際の言葉ですが

 どこまでで必至になるのかが

よく わからないから


解答に 自信が持てません。

解答が合っていても  解説を観て

玉方の応手と
 
詰みまでの手順  失敗手順を並べて

ようやく 分かったものもありました。』


そんな彼も 毎日少しずつ学習を続けた今では

必至問題を解くのが  とても楽しいそうです。

詰将棋も 必至も

【読み】を鍛えるものです。


どちらも 基礎をコツコツが 大切です(^^)
 

 
(2019.9.13 添付リンクを一部変更しました。)
 

 

 
こちらは 問題集の名著です。

寄せの手筋200 金子タカシ 著(浅川書房さんHP)



 
2019.9.11発売の金子先生の新刊も楽しみです。

必死道場(マイナビさんHP)



 


 

また一緒に勉強しましょう。

 

局面作成

 

http://home.att.ne.jp/lemon/ogi/SituationFigure.html 様より



ありがとうございます。