今日の「詰将棋並べ」

勉強の準備は良いですか?

 

初めてのかたは 下記のリンクを

ご参照ください。
 




ぴよ将棋さんを使った学習方法 もご参照ください。

 



ご自宅で盤駒あれば 

 

実際に駒をお手に取って並べてくださいね。

 


 

江戸時代の名作から勉強してみましょう。

 

コツコツと勉強して終盤の力が付きますように。

 

渡瀬荘次郎著 「待宵(まつよい)」から。

 

「江戸慶応」の時代の詰将棋です。

 


今日は

 

「待宵 第15番」です。

 

 




【学習のテーマ:両王手】

 

 

 

:初形

 

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詰め手順
・作意手順

 

62飛 83玉 84歩 同玉 82飛成(不成でも可)

 

75玉  85龍 同玉 86金 

まで 9手詰

 

 

上記の詰め手順を

いつものように 観ながら  憶えるまで

 

しっかり並べてください。

 

詰めて 初形に戻して   また詰めてという風に

 

初形を 作成できるようになるまで

盤駒を使って丁寧に

 

学習しましょう。

 

*記憶へ固定するまで 繰り返しましょう。

 

 
 

:詰上がり図

 

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【学習・研究】

 


初手は

有力な手は「62飛」以外には

 

見当たりません。

 


*62飛以下を 調べていきます。

 

 
 

:初手 62飛


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初手は  盤上この1手です。

 

ここで  玉の逃げ方には

83玉と  73玉の 2通りがありますが


(71は詰みです) 


 

*作意手順の83玉が

一番粘れる・最善の応手です。

 



なぜ 73が 最善の逃げ方

ではないのかを  先に調べます。

 
 

 

:初手62飛 73玉

 

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作意手順は 2手目 83玉ですが

 

当然 この73玉も

しっかり憶えておかなければ

 

ならない変化 手順ですね。

 

 

 

:初手62飛 73玉 92飛成

 

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92飛成が 目の覚める一手です。


香車の上に飛車が成ります。

62にいた飛車が 移動したことで 

 

51の角のラインが 通り

王手になっています。

 

*開き王手(あきおうて)と呼ばれる筋です。

 


 

 

:3手目92飛成 51金

 
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51からの角のラインは 84まで利いていますから

 

92飛成には 84玉と

上部脱出ができません。

 

ここは51金と

王手をしている角を取るよりありません。

 

 

 

 

:4手目51金 83金

 

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上図まで 5手詰 歩余りです。

 

作意手順より短く詰み 駒が余りました。

 

しかしこの 73玉から 92飛成も

 

ぜひ憶えておきましょう。

 


*92飛成は絶対手で 

92飛不成(ならず)だと

 

最後に 83金と打てないことを

 

盤駒でご確認ください。

 

 


では 初手から戻って

作意手順の

初手62飛に 【83玉】をみていきます。

 

 

 

:初手62飛 83玉

 

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83玉としました。

 

上図から 先ほどのように

 

92飛成には

今度は同玉として  端へ逃げることができます。

 


しかも 上部脱出も目指しています。

 
 

*ちなみに 初手62飛に 71玉は

72金までの3手詰です。

 

 

 

:2手目83玉 84歩

 

 
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持ち駒に 1歩ありました。

 

玉頭へ歩を叩く(たたく)といいます。

 

この歩は取る1手です。

 

*84歩に 73玉は 83金で詰みです。

 

 
続けて みていきます。 

 

 

:初手62飛 83玉 84歩 同玉 82飛成

 

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84歩に 同玉として

 

ここでも 素晴らしい1手がありました。

 

 

82飛成 

  

先ほどは  92飛成としたので(開き王手)

51の 角のラインからの王手のみでしたが

82飛成 とすると  今度は

龍のラインからも 王手がかかりました。

つまり 2方向から同時に 王手がかかった状態です。

これを
両王手(りょうおうて)といいます。


 

「51の角から」と

「82に成った飛車」 両方からの王手です。

 

 

*両王手へは

 

玉を移動させなければ

 

逃れられないという

 

ポイントがあります。

 

 

一方の王手を防いでも

もう一方からの王手があるので そうなるのですね。


注意:この 82飛成は

飛車を成らない 82飛不成(ならず)

でも 以下 同じ手順で 詰みです。

一つの手に 限定されていませんから

 非限定 となります。

参考記事:待宵第24番

 

みていきましょう。

 

 

:5手目82飛成 75玉 86龍

 

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82飛成が 両王手なので

玉は 次は 逃げないと 自分が取られてしまいます。

 


合駒をしようとしても

両方の利き=龍と 角からの王手

どちらか一方しか 防げません。

 
75に玉を逃げました。
 


7手目は作意手順では 85龍でしたが・・

86龍とすると どうでしょうか。 

 


86龍は 

桂馬の紐(ひも)がついて 自然に観える1手です。

 

みてみます。


 

:5手目82飛成 75玉 86龍 65玉

 

 66龍 54玉 55金 43玉

 

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86龍は 65玉と寄られて

 

以下追いますが 

43玉まで するすると逃げられると

 

あと少し 詰みには足りません。


上図から 46龍と王手をしても


32玉 35龍 21玉 24龍 22合駒で


詰まず     続きません。


盤上でご確認下さい。

 

盤面を 5手目82飛成まで 戻してください。

 

 

:5手目82飛成  75玉 85龍

 
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この手がありました。

 

85龍と捨てる手です。

 

玉頭へ歩を叩いて 84へ呼び寄せて

 

両王手し 

上図  85龍までが

 

鮮やかです。
 


龍のラインが 横に利いていますから

65玉とは逃げられません。
 




 

:7手目85龍 同玉 86金

 

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この 86金で 詰みです。

 

上図 玉の後ろには 

51からの

 

角のラインが良く利いています。

逃げ場が ありません。 

 

これで 作意手順のごとく詰みです。

 

 

易しい詰将棋でした。

 

 

 

:反転図

 

 
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では いつものように

反転図からの詰みを確認します。

 


この図から 何度も詰ませて

違和感なくなるまで 練習をお願いします。

 

 

自玉の詰みのあるなしを読む力の養成です。


詰め手順をみながら ゆっくり

並べてください。 

 


詰め手順
・作意手順

 

62飛 83玉 84歩 同玉 82飛成(不成)

 

75玉  85龍 同玉 86金 

まで 9手詰

 



作図と詰めの反復は できましたでしょうか。

 

 

 

次にいつものごとく 

手番を手前として

この玉にかかっている

 

詰めろを 外しましょう。

 

 

 

:51金

 

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攻め方の要の 51の角を

 

金で取り払ってしまいました。

 

これで詰みません。

 

この51金だけでも良いのですが

 

もう少し 観てみます。

 

 

 

その他にも

詰めろを外す手が あるでしょうか。

 

 

 

:83玉

 

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このシリーズで頻出の「玉の早逃げ」は

どうでしょうか。 



玉の早逃げで 83へと逃げてみました。


上図から 次に

 

51金と

角を取ればいいのですが

 

 

指し将棋の 実戦では

持ち時間が 残り少ない 秒読みになったりして

よく 手を読まないで

あわてて?逃げるとか  しがちですね。。

 


切れ負け将棋では なにが起こるかわかりません。

 

 

*実はこの83玉は 危険な手でした。

 

 

 

:83玉 84飛 72玉 73歩 同桂

 

  62金

 

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83玉には 詰みがあります。
 


上記の手順で 詰んでしまいました。

 


上図 手順中から

 

*84飛に 92玉は 82金まで詰み

 

*84飛 72玉 73歩に 同桂とせずに

71か61に玉を逃げても  金を打てば詰みです。

 

 
もう少し 他の詰めろを外す手がないか

みてみます。


盤面を 反転図初形に 戻してください。
 

 

:82玉



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83玉には詰みがありましたが

 

82玉と 1つ寄って逃げるのはどうでしょうか。

 

*実は この 82玉も危険でした

 

詰みがあります。

 

 

:82玉 83歩 同玉 85飛(以遠打)

 

72玉 62金 73玉  52金 51金

 

   84銀 82玉 83銀成 71玉 82成銀

 

 

22BBDA13-30F8-4FA6-A284-12DD09AEF9C9



82玉には 13手の詰みがあります。

 

 

*途中の85飛はいままで勉強してきた

 

以遠打です

 

この手順も ぜひ憶えておきましょう。

 



詰将棋は  詰みを見つけるだけでも

勉強になりますが


そこに派生する 全ての変化などを

 

全部研究して  憶えてしまうと

実戦で 時間を使わずに 詰められます。


・詰む  と 詰まない の 経験を記憶する 

 

・手筋は 憶えてしまう



この  詰将棋の 学習の利点は

今までの記事中で 繰り返して書いています。



知らない手筋・手は

何時間考えても 指せません。

 

様々な手筋や読み筋を

 

知っていると知らないとでは大違いですね。

 

 
 

 

 

82玉 83歩 同玉 84飛


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82玉の早逃げには 

83歩 同玉 85飛(以遠打)で

 
離して飛車を打つと
 

詰みでしたが 


上図  84飛と 玉に付けて打つのは

実は詰みません。

 


ここも 確認しておきます。
 

 

:82玉 83歩 同玉 84飛

 

  72玉 62金 73玉 52金 51金

 

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上の手順で 

最後に 52金と 開き王手をしましたが

 

51金と角を取られたときに

 
飛車がいて
 

銀を  84へと打てません。

 

84へ 銀を打つことができる

スペースが必要だったのですね、

  


盤駒でご確認ください。

 


*重要な点です。

 

 
もう一つだけ 確認しておきたい手があります。
 

盤面を 反転図初形に 戻してください。
 

 

:71玉

 

 
my15-15
 

 

*玉の早逃げは
 
どこへ逃げても 詰んでしまうのでしょうか?

 


反転図初形から

玉が 早逃げするとすれば

 


83 82 
71の地点です。

 

最後に 71玉を みておきます。

 

結論から言うと
 

「71玉」の 早逃げだけは  詰みません。

 


王手はかかりますが 詰まないのです。

 

 



 

 

 

今日の勉強は終わりです。

 

 

手順を憶えるまで 繰り返して

並べてみて下さい。

 


お強い方は
頭の中で動かして

全部の変化
を憶えてください。

 


自玉の詰みの確認も いつも通りお願いします。

 

そうして「詰めろ」を 

外す手もいろいろあるので

 

やってみて練習しましょう。

 

*例:


★51金(攻めの要:拠点の角を取り去る)


★71玉 (玉の早逃げ)

 

    

注意:83玉・82玉の逃げ方は詰みがあります。

 

 

 

変化等  全て 憶えましょう。

 

 

まだまだ 逃れる手があります。 

 

 

例でした。


 

お強い方 はいろいろな詰めろの外し方を

考えてみてください。

 

また一緒に勉強しましょう。

 

用語に関連する過去記事

以遠打→待宵第22番



開き王手・両王手・以遠打・非限定

→待宵第49番(歯ごたえのある問題です)




 

局面作成:

 

http://home.att.ne.jp/lemon/ogi/SituationFigure.html 様より

 

 

 

 

ありがとうございます