大道詰将棋「香歩問題」
七化け(ななばけ)その3
詰将棋並べが 初めての方は まず
下記リンクで
詰将棋並べの 学習方法をご覧下さい。
大道詰将棋 香歩問題 の
七化けと呼ばれる問題を
全3回の 記事で 詳しく 学習しています。
その1と その2では
詰まない初手を 詳しく 調べました。
今回のその3では 作者の意図する 詰手順
=作意手順の初手 83桂不成を
丁寧に 学習していきます。
前々回 と 前回 の記事は こちらからご覧ください。
*その1 その2 の復習もお願いします。
その2
詰まない手や 変化 の学習も
全て 実力養成になります。
【学習・研究】
図:初形
上図が初形です。
詰め手順を 再度記しておきます。
詰め手順:作意手順
83桂不成 81玉 82歩 92玉 95香
93角合 91桂成 同玉 93香不成 92角合
同香成 同玉 74角 91玉 81歩成
同玉 72角 91玉 92角成 同玉
83角成 91玉 82金
まで 23手詰
上記が作意手順です。
ゆっくり 並べてみてください。
では 以下の解説を観ながら
学習していきましょう。
【初手 83桂不成の研究】
図:初手 83桂不成
初手 83桂不成としました。
この手で 詰むのですが
ここから詳しく 研究していきます。
図:初手83桂不成 81玉
82歩 92玉 95香
初手から 5手 進めました。
駒の利きや 持ち駒をみると
ここまでの
「95香までの手順は1本道」と思います。
5手目の95香は
94香としても 95香でも
どちらでも良く 以下 同じ手順です。
*非限定打となります。
非限定打とは:駒を打つところが 一箇所に限定されていない
(参考リンク:過去記事 待宵第24番)
5手目に 香を打たれると
逃げ場のない玉方は 合駒するしかありませんね。
【95香への玉方の対応】
5手目95香には
角を 二回合駒するのが
冒頭から示した「作意手順」ですが
その他の合駒はどうなのかを 調べてみます。
*95香へは
なぜ 角合が最善に粘れるのか?です。
もう一度 上図と同じ図を貼ります。
図:5手目95香
95香には 93の地点に
合駒が必要です。
16の地点に 玉方の歩が配置されているので
歩の合駒は 反則の「二歩」になりますから
ここでは できません。
*たらればになりますが
もし 初形図で
玉方96の歩が配置されていなければ
93歩合が ここで可能となり 詰みません。
では 93の地点へ
香合の変化はどうでしょう?
盤面を 初形に 戻してください。
図:初手83桂不成 81玉 82歩
92玉 95香 93香合 91桂成 同玉
93香不成 92香合
6手目と 10手目
2回の香合をしました。
攻め方は 6手目93香合とされた後
上に玉を逃がさないように
7手目91桂成として
玉を 下段に落とします。
91桂成 同玉 93香不成 と迫ります。
玉方は10手目で
もう一度 92香合としてみましたが
上図からは 詰みがあります。
11手目81歩成 同玉 83香 91玉 82金
まで 15手で詰み
盤駒で確認しながら勉強しましょう。
*81歩成が良い手で 早く詰んでしまいました。
では今度は
2回目の合駒を 銀にしてみます。
盤面を 5手目95香まで 戻してください。
図:5手目95香 93香合 91桂成
同玉 93香不成 92銀合
上図 10手目の「銀合」は
次の 81歩成 同玉 83香を
同銀とできるようにと 考えた 合駒です。
上図から
81歩成 同玉 とされると
詰まないように観えますが
実は11手目 81歩成以外で
良い手があります。
=この92銀合にも 詰みがあります。
図:10手目92銀合 同香成 同玉 94香
10手目92銀合には
あっさり 同香成と 取ってしまうのが
良い手です。
攻め方は 駒台に 銀・香を手持ちにして
同玉とされたあとに 手に入れた香で
94香と追って 上図です。
ここでも玉方は
93へ 何か合駒をしなければなりません。
図:上図から 13手目94香 93香合
83銀 91玉 93香不成
駒台に 香が余りますが
詰みがありました。
玉方は どこが良くなかったのでしょうか。
10手目 92銀合ではなく
横にも利く合駒なら もっと頑張れたでしょうか?
観てみましょう。
盤面を 5手目95香まで 戻してください。
図:5手目95香 93香合 91桂成 同玉
93香不成 92飛合
今度は 飛車で
2回目の合駒(10手目)をしてみました。
92飛は強力な合駒です。
図:11手目 81歩成
ここから 81歩成と王手します。
注意:92飛合を 同香成としてしまうと
同玉に 94香としても
今度は83からの王手が 飛車では出来ません。
*ご確認ください。
この飛車合には
下記の手順で 攻めていきます。
図:5手目95香 93香 91桂成 同玉
93香不成 92飛合 81歩成 同玉 92香成
一旦 81歩成 同玉を入れてから
92香成とするのが 素晴らしい手順です。
上図以下:
92同玉 82飛 として その次
*91玉には 92香まで
*93玉には 83飛成まで(香余り)
それぞれ 17手の詰みです。
*95香に 93への合駒を
香でするから 詰みがあると
気が付いた方は お強いです。
では 次に 角合を観ていきましょう。
盤面を 初形に 戻してください。
図:初手から
83桂不成 81玉 82歩 92玉 95香
93角合
なんと 角合 です。
このあと 先ほどと同じように
91桂成から 追ってみます。
図:上図から 7手目91桂成 同玉
93香不成 92香合
今度は 持ち駒が 角なので
このあと
81歩成 同玉 72角は
71玉で詰みません。
という 狙いのある角の合駒ですが
上図から それでも 詰みがあります。
92香成 同玉 74角! 91玉 92香
まで 15手の詰みです。
角を 74から離して打つ手がありました。
最終手は 角のラインが利いている 92へ
香を打って 詰みです。
盤駒で確認して下さい。
それでは
上記の最後手の
香を打てないように 10手目を
桂馬の合駒にすると どうでしょう?
角合→桂合を観てみます。
盤面を 5手目 95香まで 戻してください。
図:5手目95香 93角合 91桂成
同玉 93香不成 92桂合
2回目の合駒(10手目)を 桂合としました。
上図からもやはり 詰みがあります。
11手目92香成 同玉 74角 91玉 83桂
92玉 71桂成 以下
*91玉には 81歩成まで
*93玉には 83角成まで
それぞれ 19手の詰みです。
手順中の 71桂成が 絶好手です。
玉の近くではなく
反対側の こちらへ桂成です。
図:83角成まで詰上がり図
92桂合には 桂馬を取って
74から離して角を打ち
91玉に 83桂から
71桂成の好手順で 詰みがありました。
角合→桂合は つみでした。
今度は
角合→銀合はどうでしょうか?
図:10手目 92銀合
これは 香合と同様に
次の 11手目同香成から 同玉 74角 91玉に
92銀で詰みですね。
図:92銀まで詰上がり図
上図
92銀と 最後に打たれて詰みです。
では
最終手 92への王手で
打たれない合駒は なんでしょうか?
桂馬は詰みでしたね。(前述 15手の詰み)
*玉方が 最善の頑張りとできる合駒です。
図:5手目95香 93角合 91桂成 同玉
93香不成 92角合
一度 93へ角合の後
もう一度 92角合とする
すごい手がありました。
大道詰将棋ならではでしょうか。
角合→角合
これが 最強・最善の攻防です。
図:10手目92角合 同香成 同玉
74角 91玉
91玉とした上図は
詰まないようにも観えます。
しかし
大道棋には 奥の手がいっぱいでてきます。
図:上図 14手目91玉から 81歩成
持ち駒が 角しかなく
92へは 王手をできませんから
81歩成と成り捨てて
8筋方面へと 玉を呼び込みます。
図:15手目81歩成 同玉 72角
81歩成 同玉に 72角とします。
71玉と潜られると 詰まないのでは?と
一瞬 不安ですが
図:17手目72角 71玉 62金
62金と捨てる手があるのです。
*絶妙手の連続に 息を飲む展開ですね。
図:19手目62金 同玉
この62金には
同玉と取る手と 取らない手がありますが
62同玉と取った手が 上図です。
図:19手目62金 同玉 63角上成
71玉 81角成
62金の捨て駒は絶妙で 同玉に
角が63へ成って
71玉と逃げても 81角成で詰みです。
*63角上成の符号は大丈夫ですか?
では 19手目62金を 取らない手は?
図:17手目72角 71玉 62金 82玉
金を取らずに 逃げて
82玉までの 上図です。
ここからは 83角引成 81玉 92馬
まで 詰みです。
*83角引成の符号は大丈夫ですか?
不安のある方は こちらから
大駒の動きの符号の復習をお願いします(^^)
図:17手目 72角
戻って 72角までの図です。
*ここから71玉は 62金の好手で詰みです。
では 玉が9筋方面へと
逃げたら どうでしょうか。
ここも調べましょう。
図:17手目72角 91玉
上図からも好手があります。
図:上図から 92角成
この92角成が トドメです。
図:19手目92角成 同玉 83角成
92角成 と 角を成り捨てて
同玉に 83角成として
あと少しで 詰みそうですね。
図:21手目83角成 91玉 82金
上図で 詰みです。
【香歩問題】「七化け」でした。
全3回の記事に分けて 研究してみましたが
解説を観ながらでも 勉強量としては
とても多く 符号を追うのも 大変だった方も
おられると思います。
ですが
この【香歩問題 「七化け」】は
素晴らしい作品です。
街中で こんなに
読みの多い問題を出題されたら。。
『この詰将棋 詰まないのでは?』と
出題した 大道詰将棋屋さんへ
思わず 詰め寄ってしまうかもしれませんね。。
しかし
好手・奇手の合駒や 絶妙の手順などで
詰みがあります。
ありとあらゆる
全部の変化や応手を
憶えてみましょう。
記事を 読みながら 局面を
動かしたり 戻したりするうちに
手が 憶えてきます。
そうやって 憶えたことは
きっと 終盤力・将棋の指し手 読みへと
好影響と思います。
記事その1:初手 72歩 は詰まない
・(桂合→金合の中合)*憶えておきたい絶妙の合駒
記事その2:初手 63桂不成 は詰まない
・(83銀の中合の妙手)
記事その3(当記事):初手 83桂不成
・この初手のみが 詰みに導く手でした。
*角合の 連続の絶妙手の攻防が素晴らしい。
折に触れて これからも
大道棋も取り上げて
また一緒に勉強しましょう。
香歩問題について もっと知りたい方は
TETSUさんのサイト 詰将棋おもちゃ箱さんより
下記をご覧ください(^^)
局面作成:
http://home.att.ne.jp/lemon/ogi/SituationFigure.html 様より
ありがとうございます。