今日の「詰将棋並べ」
勉強の準備は良いですか?
初めての方は 過去記事
「詰将棋並べとは?」をご参照ください。
勉強の進め方など 書いてあります。
盤駒で並べながらですと
一層 身につくと思います。
ぜひ盤駒を出してくださいね。
*ぴよ将棋さんなどの アプリを
お使いになってもいいですね。
戻したり 詰めたり
繰り返して 学習しましょう。
今回も
江戸時代の名作から勉強してみましょう。
有名なものです。
渡瀬荘次郎著 「待宵(まつよい)」から。
「江戸慶応」の時代の詰将棋です。
「待宵 第21番」
(大変有名な作品なのでどこかで観たことありますか?)
図:初形
上図の通りに 駒を配置して
盤上で局面を作成してみましょう。
詰め手順:
12角成 31玉 32銀 同金 22金
同金 同馬 同玉 23金 31玉 32と
まで 11手詰
図:詰上がり図
上記の 詰め手順を見ながら
繰り返し 並べる練習をしましょう。
初形から詰上がり図まで
手順は 憶えてしまいましょう。
【学習・研究】
今回のテーマは
邪魔駒の消去(じゃまごま)
数の攻め(足し算)
では 勉強を進めていきましょう。
【初手の研究】
冒頭の初手「12角成」は
なかなか 指せない手です。
上記の初形を よく観てください。
攻め方が一番困るのは
13玉と上がられて
次に24玉と
玉を 上に逃がしてしまうことです。
【初手32金の研究】
図:初手を 32金とした図
初手で32金 は 調べてみたい手です。
金と玉が利いているところへ
まずは 持ち駒の金を打ってみます。
図:初手32金 同金 同角成 13玉 23馬
初手の32金に 同金としてくれるなら
上記の手順で詰みです。
5手詰で駒が余ります。
(初手32金には 13玉が正しい応手で詰みません)
この上図で 示した 手順中では 大事な
今回の作品での 詰みのヒント
手筋が隠されています。
何か 気が付いた点がありませんか?
そうです。
手順中 23にいる角が動いて
「23の地点」が空きました。
ここへ 馬か金で 詰みになります。
*23に配置された角は 邪魔駒 だったのです。
図:仮想図
上図は
初形から 23の地点を 空にした
「仮想図」です。
*邪魔駒と思われる角を外しました。
この空いた地点へ 駒を打っていけば詰みます。
観てみましょう。
仮想図:初手23金 31玉
一番初めの初形で配置されていた
攻め方の 【23の角】を配置から外したので
空いたその地点へ
初手で 23金と打てました。
*注意:初手23銀だと
13玉から
24玉と逃げられてしまうので
ここは必ず 23金です。
【数の攻め】
仮想図:初手23金 31玉 32銀
数の攻め
足し算の攻めの学習は 大丈夫ですか?
上図 3手目 32銀としました。
この手は
32の地点に 攻め方の駒の力を集めて
相手玉を 詰ませようとする 強い手です。
玉方の駒も 32に守りが利いていますから
王手で 駒のやりとりがあり
結果として 玉周りが すっきりします。
*32の地点で精算するともいいます。
では
次で 駒の利きの 力関係を 観てみます。
【憶え方】
32の地点には 2手目 31玉の時点で
*玉方は 【玉】と【金】の「2枚」の利きです
*攻め方は 【金】と 【と金】 の「2枚」の利きです
それが 3手目で
持ち駒の 【銀】を
攻め方の手番ゆえ 32の地点へ さらに打てるので
2+1=「3枚」の利きになります。
*32の地点での
攻め方の 駒の利きが 玉方より 強くなるのですね。
続けて 観てみましょう。
図:3手目32銀 同金 同金
攻め方の駒の利きが 1枚多いので
「最後は 攻め方の駒が残ります」
3-2=1です(攻め方が1枚多い)
上図では
最後に32同玉と取れないので
(と金 がいます)
ここまでで 詰みです。
仮想図では
角が 23に配置されていなかったので
(邪魔駒がない)
23金以下で詰みました。
*このような憶え方など
手筋の記事は
そのうち 単体の記事として書きたいと思っています。
【まとめ】
・ある地点へ 利いている 双方の駒の数を数える 。
・その地点で 全部
取って取られての 清算 をする。
・攻め方と 玉方の 駒の利きで引き算をする。
→利きの多い側に 駒が残る 。
・手番なら
その地点に打って 王手ができる駒台の駒も
勘定に入れる。
・同じ数 枚数だと 後に指す方に 1枚残る。
*手筋の記事で 後々詳しく 書きたいと思います。
では 盤面を初形に戻してください。
初手は 邪魔駒の角を捨ててしまうのが手筋です。
【邪魔駒の消去】
図:初手 12角成
初手は
12角成と こちらへ捨てるのが良い手で
名手です。
是非 憶えておきたい手ですね。
*同じ捨てるにしても
32角成は 同金とされて
金が玉に 守備駒としてさらに近づき
23の地点にも 金が利いてくるので
詰まなくなってしまいます。
なので
12角成と そっぽへ
こちら側へと捨てるのが絶妙です。
12角は 香車も居て
ちょっともったいない方向かなと
一瞬 思う手なので
これは勉強しないと
指せない手でもあります。
*12角成を同香は 23金 11玉には22銀
12角成 に 同香 23金 31玉は
32銀から 32の地点へ
数を 足していけば詰みです(前述)。
図:初手12角成 同玉 23金
初手の12角成を 同玉も
23金で 早く詰んでしまいます。
つまりこの12角成は 取れないのですね。
玉 香車で取ると
早く詰むことがわかりました。
これが この12角成の素晴らしいところです。
図:初手12角成 31玉
したがって 2手目は
31玉と 下へ落ちて逃げるしかありません。
攻め方は
玉を下段に落とすことに 成功したともいえますね。
図:初手12角成 31玉 22馬
22馬と
玉を 馬で追いかけて
そのまま22同玉と取ってくれるなら
23金から先ほどの
仮装図になるので 早詰みですね。
しかし 取ってはくれません。
22馬には 41玉と逃げられて
玉方からみて右辺が広いです。
5筋から6筋方面への逃げ道が広いですね。
これは詰みません。
【64馬の意味の研究】
図:仮想図―2
3手目22馬 41玉
上図には 初形での
配置の64馬がいません。
*なぜ 初形で 64に馬が配置されているのでしょう?
41玉と 広い方へ 逃げてきた図です。
仮想図―2を 作成してください。
この64馬を外した図では
詰みがあります。
以下:
5手目52銀 同金 31馬
51玉
52と 同玉 53金 61玉 62金打 まで
13手で詰み
*盤上から
初形の 64馬の配置を外すと
上図の詰み上がりで詰みます。
しかし
図:実際の図
=64馬の配置のある図では?
上図は64に馬を配置した上で
仮想図-2の手順から 3手進んだ
7手目 31馬までの図です。
52銀 同金 31馬の時に
64から馬の利きがあります!
図:7手目31馬 同馬
31馬に同馬とされ
詰まなくなりました。
これが 初形での
64馬の 配置の意味でした。
【64馬の配置の意味:まとめ】
初形 64に馬がいないと
初手12角成 31玉に
攻め方 3手目「22馬」の
別な 詰め手順が成立してしまう。
*3手目 攻め方が 22馬と
冒頭の詰め手順中の「32銀」の
2通りの手順が できてしまい
余詰となってしまいます。
*64馬は 余詰防止の配置でした。
下記は確認です。
図:初形 64馬の配置がない図
詰め手順-1(冒頭の作意手順と同じ詰め手順)
12角成 31玉 32銀 同金 22金 同金
同馬 同玉 23金 31玉 32と
まで 11手詰
図:詰め手順-1:詰上がり図
図:詰め手順―2:詰上がり図
詰め手順―2
(64に馬が配置されていない為に生じた余詰)
12角成 31玉 22馬 41玉 52銀
同金 31馬 51玉 52と 同玉
53金 61玉 62金打
まで 13手詰
「詰め手順―1」 「詰め手順―2」
両方の手順を 憶えてみてください。
詰めて 戻して
挑戦してみてください。
*繰り返しですが
64馬が配置されていないと
2通りの手順があり
(攻め方3手目:32銀と 22馬 両方詰み)
余詰 です。
これで
初形の配置には 64馬が必要とわかりました。
盤面を 初形に 戻してください。
図:初形 64馬が配置されている図
では 最初に戻り
64馬が配置されている図を
もう一度 観てみましょう。
図:初手12角成 31玉 32銀 同金 22金
冒頭の作意手順から
5手進めた図です。
一旦 3手目で
32銀として
玉方の金を 32の地点へ呼びつけてから
22金とするのが 味わい深い手順です。
22金は取ると 同馬で12の馬が活躍してきます。
図:5手目22金 41玉
では 22金を
41玉と逃げると?
図:32金 51玉 52金
22金を取らないで 41玉には
32の金を取って
52から金を打てば 詰みです。
上図
これは総手数が9手で 早詰です。
作意手順に 戻りましょう。
図:初手から 12角成 31玉 32銀 同金
22金 同金 同馬 同玉 23金
ここまで 色々調べ 研究してきましたが
23の角を捨てて ついに
「23金」が実現!
この後 最終手は
31玉に
「32と」でも「32金」でも詰みです。
=最終手余詰といいます(攻め方に複数の詰め方がある)。
しばしば観られる
最終手のみ 攻め方の手を変えても詰み。
ルール上 許容範囲でしょうか。
*許容範囲とされています。
図:反転図
では いつもと同じく
反転図からも学びましょう。
手前を 自玉と思って 詰みの確認をしましょう。
反転図からの詰みを
違和感なく できるようになり
実戦での終盤に強くなりましょう。
詰め手順:
12角成 31玉 32銀 同金
22金 同金 同馬 同玉
23金 31玉 32と
まで 11手詰
これで 自玉に詰みがあることが解りました。
上の手順を 繰り返し 並べてください。
詰めて 戻して
局面作成もできるように。
次は 詰めろがかかっていると想定します。
反転図で手前の
自玉に 詰めろがかかっているとし
手番を手前として
この詰めろを 外してみます。
これも憶えてください。
反転図 初形に 盤面を戻してください。
図:13玉
13玉と
端へと 玉を上がりました。
ここから次に
24の地点へ逃げようとする
早逃げです。
これで
金・銀の持ち駒だけでは 詰みません。
有効な王手もかけにくい局面となりました。
もう一つ 詰めろを外す手を 挙げてみます。
図:43金
攻め方にとって重要な拠点だった
43の「と金」を
金で 取り払ってしまいました。
これで足場がない攻め方は
玉を詰ますことができなくなりました。
ぜひ 憶えておいてください。
今日の勉強は終わりです。
ありがとうございました。
冒頭の作意手順や それぞれの変化などを
何度も何度も繰り返してみて下さい。
お強い方は頭の中で動かして、
全部の変化を 憶えてください。
自玉の詰みの確認も お願いします。
そうして「詰めろ」を
外す手もいろいろあるので
やってみて練習しましょう。
*例:
・13玉 (早逃げ)
・43金 (攻めの拠点を取り払う)
2つ例をお示ししました。
また一緒に勉強しましょう。
*関連用語の過去記事
邪魔駒→待宵第18番
清算→待宵第34番
局面作成
http://home.att.ne.jp/lemon/ogi/SituationFigure.html
様より
ありがとうございます。