「詰将棋並べ」

勉強の準備は良いですか。

 


初めての方は 過去記事


「詰将棋並べとは?」をご参照ください。

 




盤駒を使って

並べながら 勉強すると良いと思っています。

 

*ぴよ将棋さんを使っても良いですね。

 

 

今回も江戸時代の作品から勉強してみましょう。

 

 

渡瀬荘次郎著   待宵(まつよい)から。

1866年(慶応2年)発行


「江戸慶応」の時代の詰将棋です。 

 


 

今回は

 

「待宵 第番」 です。

 



玉方変化  別詰 がある問題です。

 


丁寧に調べて 学習していきましょう。

 

 





 

:初形


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通常の 詰将棋での詰め手順は

作意手順 という

作者の創作した意図する 手順が  示されます。


もし それ以外の攻め手順で 詰みがあれば

余詰(攻め方が 手を変えても詰む)

が あるといいます。



今回の 待宵第9番では 


余り詰とは違い  「玉方の変化」 

「玉方」が 対応 を変えて 詰む(駒余り)


玉方変化 別詰  (駒余り)


があります。



*現代の 作品としての詰将棋では 

不完全なものとされています。





まずは 「作意手順」から みてみましょう。




 

詰め手順:① 作者の作意と思われる手順

 



22飛 同角 53金 
31玉 42金 


まで 5手詰

 


*4手目ですが  31玉以外に
   

 


51玉   41玉   32玉 

 


と 玉の逃げ場が3つありますが

 


全て
 最終手は 

金を打てば詰みです。





*最後の2手についての許容】



最後の玉方の 逃げ方・対応 と

次の詰め手(最終手)については


それぞれ 複数の手があっても
 


長手数の詰将棋にはしばしば観られることで

ルール上 問題視される事は


ありません。


最後の2手のみです。


最後の2手ではない それ以前の手では 

これは許容範囲ではありません。






 

上記の手順を

繰り返して並べてください。 

詰めて また初形に戻して 

 


憶えるまで お願いします。

 


初形の図を

作成できるまで 頑張ってみましょう。



 


:詰上がり図 ①


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作者が 意図しているものは

 

上図までの手順と思われます。



*ほかにもこの問題には

玉方が 手を変えた場合にも

詰みがあります。 

 

 

 

玉方の変化】 の 詰め手順

 


22飛 
32飛合 43金 51玉 52金打

 

同飛 同金(ないし最終手 同飛成:非限定)

 

まで 7手詰




 

玉方 変化別詰 詰上がり図 


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玉方が 2手目に 飛車の合駒をしました。


7手で詰みです。

しかも 飛車が駒台に余ります

 

ぜひ 2手目の玉方の変化 


この手順も 憶えましょう。

 


飛車の合駒は  勉強になります。

 

実戦的です。


*なぜ 飛車合なのかは 後述します。 







【学習・研究】

 


テーマ: 

 

1:玉の退路 脱出路を塞ぐ

 

2:玉方の変化で 別の詰め手順がある


    =7手詰 駒余り

 

3:非限定

 

 



今回の詰将棋は 

玉方が  2手目 好手である 「飛車合」をして

 

作意手順より長い手数の 


別の詰め手順があります。

 

また  非限定手順(手を変えても詰む)も

あるのにもかかわらず

 

「待宵」には  堂々と 掲載されています。


何らかの趣向がある場合を除いては
 

 

現代の 通常の詰将棋作品では 見られない点ですが


細かいところは気にせずに載せているところが


 

近代とは違う点でしょうか。



 

*詰将棋では 作意手順を記載するのが良いのですが

 

変化別詰みまで

しっかり 並べ  そして 変化手順を憶える事も


重要と思い、取りあげました。


実戦の鍛錬には有用と思います。

 


 

 

自分自身は 以前は 

別詰みなど無い ような

 

いわゆる 完全作品が好きでしたが

 

詰む 詰ます  という最終盤の 勉強には

いろいろな手順があったりしたほうが

 

より 実戦的思い 


学んだり 知っていて損はないものですから


 

出来るだけ  古典などの こういう物も 

並べて 学習に 
取り組んでいます。

 


古典詰将棋・大道棋の学習では 特に 

他に手順はないか?など 考えたりします。 

 




では 上の3つのテーマに沿って

みていきましょう。

*解説通りに 並べつつ 記事を読んでみてください。


 

 

初手から観てみます。

 


:初手 22飛

 


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先ず初手
22飛 

この手が絶妙手です。

 


ここへ飛車を捨てることで

玉の退路を  塞ぐことができます。



 

この1手のための

 

詰将棋であると言っても

過言ではないと思います。

 

*22飛は 実に

味わい深い 良い手です。


是非覚えましょう。

 


作者が期する作意手順は 

22飛 同角ですが

 

その手以外の 玉方の 変化を 調べてみましょう。

 



:初手 22飛 41玉

 


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初手22飛を 同角としないで 

41へ玉が逃げると?


 

 

:初手22飛 41玉 33桂不成 同桂 42金

 


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2手目41玉に 42金とすると 

同角で詰みません。

 


33の角を 桂馬で取りながら


王手する順があります。

 


この 33桂不成を憶えてください。

 

 


ほかにも 3手目の桂馬は 

53へ 不成としても詰むのではないか? 

 

みてみます。


盤面を 初形に戻してください。


:初手22飛  41玉  53桂不成 51玉 52金



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そうです

 

53へ桂馬を成らずに 王手をしても


上記の手順で 詰みです。

 


 

 

:初手22飛 41玉 52金 31玉 32金



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22飛に 41玉の変化には

 

52金からの詰め方あります。

 

上の手順で 上図が詰上がり図です。



 



【22飛に 
変化41玉の詰手順 まとめ】


 

初手 22飛 41玉の変化には

 


1:33桂不成 から詰

 

2:53桂不成 からも詰

 

3:52金~32金でも詰

 



上記の 1~3
手順憶えてしまいましょう。

 

 

(33桂不成・53桂不成では 駒余りもあります)

 

いずれも「5手詰」です


ポイント:

 

作意手順(作者の意図した手順)

以外


玉方の逃げ方

 

今回では 「41玉」 でしたが 

 

このような 玉方の逃げ方を「変化」といいます

 

攻め方が手を変えて詰む場合は余詰といいます





作意を読み取って

作意手順を 解答出来るようになると 嬉しいですね。




*この 「詰将棋並べ」 では

初めから作意手順を書いて 


それを見て並べて 憶えて

作品から 手筋などを習う 学習方法ですので



普段 詰将棋を解く時とは  勝手が違うかもしれません。



変化を含めて 全て憶えてしまいましょう

というのが 学習の目的です。
 


*詰将棋を自力で解く 


この楽しみは 素晴らしいものです。


ここで  読みのトレーニングをして
 


ぜひ  お手持ちの書籍などでは

自ら考えて 解く楽しさを 味わってくださいね。


自分も日々 練習しています。


 



 

 

 

 

41玉の

【作意
以外】の【変化手順】では


通常は

 

・早く詰む  

 

・駒が駒台に余る 

 


などの ため 正解手順とはなりません。

 


正解を記載するときには


駒が余らず しかも 

 

玉方は 長く 頑張る


また 攻め方は 最短で詰ます。という

最善
手順を記載する必要があります。





*例外として

作意手順以外で 玉方が変化したのに



同手数で詰み かつ  駒も余らない

変同(変化同手数駒余らず)

というものがあります。



詰将棋の用語は 


変同   変長   変別  迂回  非限定  

手順前後 紛れ  等  たくさんありますが


今後も記事中で  少しずつ 


関連するものが出てきたら 書くようにします。



 
 初手にもどります。


 

:初手22飛 同角



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したがって 初手22飛車には 

同角です
=作意手順

 


*玉が 左辺へ急に狭くなりました。



 



:3手目53金  51玉  52金打(詰上がり図)


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22飛 同角には 53金です 。

以下


玉の逃げ場は

51、41、31、32と複数あり

非限定ですが


最後に 金を打てば いずれも詰みです。

 

 

 

つづいて 初手 22飛の図に戻ります。



局面を戻してください。




【初手22飛に 32へ合駒の研究】



 

:初手 22飛 


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こんどは 初手 22飛に 

「32へ合駒」をすると


どうなるでしょうか?

 


ここに合駒は 気になるところです。



 


:初手22飛 32金合

 

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32へ 金で 合駒をしました。




 

:32金合 43金

 

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32金合には

 

43金が素晴らしい 好手です。

 

この金は

知らないと 打てない金です。

 

 

 

:初手22飛 32金合 43金 同玉 53金

 


my9-13


3手目43金を 同玉なら 

53金で詰んでいます。



上図が 詰上がり図です。

 


盤上でご確認をお願いします。

 

 


:3手目43金 31玉 32飛成

 

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43金に 31玉と逃げても

 

32飛成で 詰みです

 

32金でもどちらでも 詰みですね 


=非限定   駒余りです。

 

 

 

:初手22飛 32飛合 43金


my9-15


 

次に 32飛合を観てみましょう。

はじめに書いた 

 

②の変化別詰み  駒が余る 手順の 


飛車の合駒です。

 

この飛合は ぜひ 憶えておきましょう。

 


実戦でも 注意が必要な手です。

 

 

 

32飛合 43金 51玉 52金打


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この 32飛合は 良い合駒です。

 

玉が 下段に 落とされても

飛車の横利きが強く 守りが利いています。


5手目

52の 玉の頭に 【頭金】を打たれました。





:6手目 52同飛

 

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32の地点から 52まで

飛車の利きが通っており

 

ここで同飛とできるのです。



*攻め方が 一瞬 ドキッとする手ですか。

 

 

 

:5手目  52金打 同飛 同飛成

 

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上図 詰みましたが

駒台に 飛車が余りました。



これが

玉方32飛合 の 変化別詰み 駒余り

 

の手順です。

 



*この問題では

 


・まずは作意手順の 5手をしっかり憶え

 

・玉方の頑張り 変化 32飛合も憶えましょう 。

7手詰です。





今回の 作品では


攻め方が 作意手で 迫ってきた時 


玉方の最強の粘りは 飛車の合駒で

7手詰  駒余り


となりました。


作品としては 良くない?物ですが 


手筋の勉強を するには

とても良いと思い


また  

古典詰将棋の 不完全な作品をどう見るかの


よい 機会と考えて

記事として取り上げ 書いてみました。






 

 

:反転図


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いつもの 反転図です。


詰め手順:① 作者の作意と思われる手順

 

22飛 同角 53金 31玉 42金 

まで 5手詰 





詰め手順② 32飛車合 変化

 

22飛 32飛合 43金 51玉 52金打

 

同飛 同金(ないし最終手 同飛成: 非限定)

 

まで 7手詰





 

図:反転図 ②の手順の 詰上がり図


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反転図を 自玉の詰みと考えて

違和感が なくなるまで


繰り返し  詰ませてくださいね。 


*この練習は何度もやっていますが重要です!



では 反転図から詰みがあるので

手番を 手前として この詰めろを 外してみましょう。



反転図 初形に 戻してください。

 

図:45歩 


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45歩と 

攻め方の 攻めの拠点の 桂馬を取った手です。

これで詰みません。

 


もう一つ 詰めろを外す手を挙げてみます。



図:32玉  


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32玉と 一つ左に寄りました。


頻出の手  玉の早逃げです。

これでも詰みません 。 





上記の2つは 憶えておきましょう。

 

 





 

 

今日の勉強は終わりです。

 

ありがとうございました。

 

手順を憶えるまで 繰り返して並べてみて下さい。

 

強い人は頭の中で動かして

全部の変化
を憶えてください。

 


反転図からの 自玉の詰みの確認も  


違和感がなくなるまで お願いします。

 


自玉の詰みのあるなしの確認は

実戦の終盤では  必須科目です。

 

そうして「詰めろ」を 

外す手もいろいろあります。 

 


練習しましょう。

 

例:

 

45歩(拠点になっている駒を取ってしまう)

 

32玉(玉の早逃げ)

 


時々の局面に応じて 選択してください。

    


例では 
つ示してみました。

 

憶えておいてくださいね。

 

まだまだ 詰めろを外す手があります。

 

お強い方はぜひ いろいろ探してみてください。

 

また一緒に勉強しましょう。

 


*用語に関連する過去記事

限定・非限定 ・変同→待宵第24番

余詰と変化→待宵第6番

不完全作→待宵第34番

 

局面作成

 

http://home.att.ne.jp/lemon/ogi/SituationFigure.html
様より