今日の「詰将棋並べ」
勉強の準備は良いですか?
初めての方は
過去記事「詰将棋並べとは?」を
まずご参照くださいね。
明治時代の名作から勉強してみましょう。
明治2年 渡瀬荘次郎著 「待宵後集」から。
「待宵後集 第5番」
注:同じ作家でも
「待宵」と「待宵後集」は
別の時期に発行された それぞれ別の書物です。
今回は 「待宵後集」です。
これも大変有名な作品です。
観たことがある方も おられますか?
今回は 実戦型詰将棋ではありません。
お手元に 盤と駒があれば ご用意くださいね。
下記の 記事通りに 並べながら 学習しましょう。
では さっそく 観てみます。
図:初形
詰め手順:
15飛 23玉 35桂 24玉 42角成 34玉
44角成 同玉 43桂成 54玉 53馬まで
11手詰
*盤上の駒も少なく 持ち駒も2枚
きれいで簡素な図式ですね。
ゆっくりで大丈夫です。
繰り返し 盤の上で 手順通りに
駒を動かしてみてください。
図:詰上がり図
詰将棋並べでは
【考えて詰ます】という事をしないので
書いてある手順をみて
並べて 憶えてください。
手筋を憶えるように学習していきます。
【学習・研究】
上記でお示しした手順を
作者の創作した【作意】 手順と言います。
*作意 とは何かについては
TETSUさんのサイト 詰将棋おもちゃ箱さんの
下記のリンク
将棋と詰め将棋(詰将棋)内の
詰め将棋のルール
2)創作する時の注意
をご参照ください。 わかりやすく書かれています。
書籍の解説などでも よく 出てくる用語です。
用語の理解は 正確に しておきたいですね。
では
初手の研究からです。
図:初手 15飛
持ち駒の 桂馬で
初手で王手をするには
25桂ですが
仮に 玉方が24玉と逃げてくれるなら
33角成 25玉 26飛
14玉 24馬までの7手詰です。
しかし 25桂馬の初手には
14玉で 詰みません。
その後13飛と追っても
25玉と 桂馬を取ってしまえば
詰みません。
*したがって 初手は飛車ですね。
では どこに打ちましょうか?
上図のように
15飛と 玉から一段離して打つのが良い手です。
どうして15 へ飛車 なのかを
以下で調べていきましょう。
玉から離して王手をする際
・逃げられ 詰まないのでは?
・どこへ離して打つのか ?
・合駒をされるのでは?
などの違和感 不安を感じることは 自然です。
その不安を取り除くためには
丁寧に 考えられる 玉方の 変化や
合駒などを 全て 並べて 詰むかどうかを調べ
全部の不安が解消されると良いのですが
1問につき それらの 全部を
説明している詰将棋の書籍は 少ないですね。
解りますよね?が前提で
解説されているようもみえ
初学では 理解が難しいです。
限られた スペースや
ページ数 だからなのかもとも思います。
* どの趣味の世界も 同じ そんな気もします。。
この辺りが 初学から 一段ずつの
レベルアップには 鬼門だと思います。
途中で わからなくなって 諦めると
苦手意識も 生まれてしまいます。
苦手だから面倒だからと
詰将棋は不要と
突き放すようでは もったいないです。
この 詰将棋並べ 記事で ゆっくり
時間をかけて トレーニングをして
全部の変化等の手筋を
丸ごと 憶えていきましょう。
トレーニングの 成果により
詰将棋の楽しさを 感じて頂けると思います。
できる限り 詳しく 書いていきます。
観た瞬間 手順が浮かぶまで繰り返してください。
初手の研究を続けます。
図:初手 15飛 に 合駒(ここでは14歩)
14歩と合駒してきた図です。
14の地点には 何の合駒が良いのか?
ですが
心配なら 全部を調べてみましょう。
図:14歩(合駒)31角成
2枚の角のラインを活かして
31角成が良い手です。
図:3手目31角成 24玉
31角成には 24玉と
飛車取りの目的で 上に逃げてきました。
ここは焦らずに
図:5手目 42馬
42馬は 15の地点まで馬の利きが通り
飛車取りも防いでいます。
飛車がいるため 35玉ともできません。
図:5手目 42馬 13玉 25桂馬
25桂馬は 飛車と玉に
合駒が挟まった状態で
良く出てくる桂です。憶えておきましょう。
*この図では 合駒を歩にしていますが
この桂馬が取れる 合駒 どれを選択しても
(金、銀、角などの斜めで桂馬が取れる駒)
15の 飛車が 1筋の縦に 玉へ 利いていて
合駒では 25の 桂馬を取れませんね。
図:7手目25桂 12玉 14飛
25桂に 12玉と
下がって逃げました。
14飛と 追撃していきます。
図:9手目14飛 23玉 13桂成
23玉と逃げるのは 23桂成まで
駒余りの詰みです。
図:9手目14飛 21玉 33桂不成
14飛で 21玉と逃げても
「33桂不成」
が良い手で 上図で 詰んでいます。
ご確認をお願いします。
*7手目 25桂まで戻ります。
図:7手目 25桂の図
図:7手目 25桂 23玉 33馬
25桂に 23玉も
33馬から追って
図:12玉 22角成
12玉に 22角成で 詰みです。
その他 初手 15飛 14歩 に
3手目で「いきなり25桂」でも詰みます。
*15飛 14歩 25桂 12玉 14飛
23玉 13飛成(13飛不成でも=非限定)
34玉 44角右成 25玉 35馬
まで11手 駒余り
3手目25桂に 23玉も
33角成 12玉 14飛 21玉 11飛成
まで早詰み 駒余り
*25桂に 24玉は 33角成の1手詰
結論:作意手順以外にも詰みがあります。
初手 15飛に 14への合駒は 上記手順で 別詰み
14に合駒をすると 【変化別詰】
1番始めに示した手順でも この合駒の手順
全部を 憶えてください。
*用語です スルーしても構いません。
図:初手15飛 に 23玉
初手の15飛に 「23玉」
を調べていきます
作意手順 初手からみていきます。
図:初手15飛 23玉 35桂 24玉
上図までが 作者の意図した作意の
攻防です。
盤駒でぜひ 並べてみてください。
24玉と 上がってきました。
図:24玉 42角成
この 42角成が素晴らしい手です。
しかも初手に放った 15飛の効果で
35の桂馬には 紐(ひも)がついています。
→飛車の横の【利き 】があって
玉方は 桂馬を取ることができません。
*これが初手を 15飛 とした意味です。
もし 初手が
16飛 などだったら
ここで35玉と
紐がついていない 桂馬を取られて
上部へと 脱出されてしまいます。
図:6手目 34玉
42の馬 と
11の地点の角のライン(利き)もあって
玉の逃げ場所は
34玉の1手です(上図)
玉方は次に 45玉の
上部脱出を狙っています。
ここで45に逃がしたら 捕まりません。
図:7手目 44角成
44角成とここへ角を成捨てます。
絶妙手がでました。
素晴らしい手です。
この馬は 取るしかありませんね。
図:7手目44角成 同玉 43桂成
44角成は 同玉の1手です
そこで 43桂成と
飛車の横利きを
通しながら王手をします。
15からの 飛車の横利きが素晴らしく
上図からは 次に54玉と逃げるのですが
最終手:53馬とすれば詰みです。
盤面を 初形に 戻してください。
図:初手から15飛 23玉 35桂 34玉
3手目35桂に
24玉ではなく 34玉なら?
図:34玉 44角右成 24玉 42角成
右の角=11の地点の角が 44へと成って
24玉に 42角成で
早く詰んでいます。
7手です。
よくみると 玉の逃げ場がありません。
詰みです。
盤上で 確認してくださいね。
図:反転図
いつものように
反転図からの 自玉の詰みの確認です。
反転図は必ず
詰ませられるように 手順をみて練習しましょう。
詰め手順:
15飛 23玉 35桂 24玉 42角成 34玉
44角成 同玉 43桂成 54玉 53馬まで
11手詰
違和感がなくなるまで 並べて
反転図からも
手前の玉を 詰ましましょう。
では いつものように
手前に手番があるとして
詰みがあるので これを外してみましょう。
図:反転図初形から 14歩は?
14歩は
15飛と 王手される手を 事前に防いだ手ですが
このあと
25桂 「12玉」 13飛 21玉 23飛成
11玉 44角成 まで 7手詰
*25桂 に 「24玉」 も
33角成 25玉 26飛 14玉
24に馬か 飛車成で 詰みです。
図:44角成までの詰上がり図
14歩では 上図までで
詰んでしまいます。
それでは
図:反転図初形から 24玉
反転図から
「24玉」と 上に逃げてみますが
これは詰めろが外れていません
この図からも 詰みがあります。
下記 符号で表記しましたので
駒を動かして
盤上で「並べて」ください。
【上図から 36桂変化の詰みの研究】
「24玉」と 逃げた図に対して
*36桂ですが
玉の逃げ方に
①15玉
②13玉
③14玉
④25玉
⑤34玉
⑥23玉
上記の 6通りの逃げ方があります。
以下で 全て 見ていきます。
①36桂 15玉 は
33角成 16玉 17飛
25玉 24馬 36玉 35馬まで 9手詰
角のラインが素晴らしく 詰みです。
②36桂に 13玉は
35角成 12玉 32飛 11玉
44馬 21玉 22馬まで 7手
*36桂 13玉 35角成に 23玉 も
22飛 14玉 24馬までの詰みです。
③36桂に 14玉は 24飛 15玉 26角成まで
④36桂に 25玉は 26飛 15玉 33角成 14玉
24馬で詰み
⑤36桂に 34玉は 44角右成 25玉 26飛
15玉 42角成 14玉 24馬
⑥36桂に 23玉は 22飛 13玉 24飛成
12玉 22角成 まで詰み
6通りに 玉は逃げましたが
上記のように 詰みになります。
細かい変化ですが 細かいからといって
ここを 避けてはいけません。
面倒くさいと避けては 強くなれません(●´ω`●)
コツコツ 並べていくうちに 身体が ?
だんだんと 覚えてきます。
一気に せずとも
できる時に 少しずつ
ゆっくりでいいのです(^^)
今回の問題は
序盤もしかり
中盤の変化や 読み筋も細かいのですが
こういった終盤の学びは 指し将棋でも
より 勝負に直結すると思いますので
是非 全変化へ 挑戦して 並べていきましょう。
図:反転図 から
24玉に 36桂 15玉 33角成 16玉 17飛
25玉 24馬 36玉 35馬 まで9手詰 の図
(上記の①の手順)
というわけで
「24玉」の脱出は
成功しませんでした
詰みになってしまいます。
では
他に 詰めろを外す手を考えてみましょう。
図:14玉
24玉は詰んでしまったのですが
この 14玉が良い手です。
これで詰みません。
14玉には 26桂と王手をしますが
15玉と上がります。
53からの 角のラインは
26の地点に桂馬を打ったことにより
遮断されていて
玉は 上に 逃げられます。
盤上の 2枚の角の利きを
うまく逃れているのが
14玉の逃げ方です。
飛車でも 王手はできますが
角の利きがそれていて
残り 桂馬1枚では 詰みません。
飛車で 王手をかけてみて
ご確認下さい。
*この 14玉の逃げ方を ぜひ憶えてください。
図:反転図から 15歩
もう一つ 詰めろを外した手を観てみます。
15歩です。
「敵の打ちたいところへ打て」
という 有名な 格言があります。
15飛とされると詰みでしたので
15の地点へと 歩を打ってみました。
先ほどの 14歩と受けた図との違いは
14に 玉が逃げるスペースがあることです。
*15歩 に 25桂と王手されても
14玉と逃げて 詰みません。
今日の勉強は終わりです。
ありがとうございました。
繰り返して 並べてみて下さい。
お強い方は 全部の変化を憶えてください。
自玉の詰みの 確認も
いつも通り お願いします。
そうして「詰めろ」を 外す手もいろいろあるので
やってみて練習しましょう。
注:14歩 24玉は 詰まされてしまいます。
=詰めろが外れていません。
詰めろを 外す手は
*14玉 と *15歩 を例に挙げました。
(24玉 と 14歩は 詰んでしまうので注意です)
まだ 他にもたくさん あります。
お強い方は ぜひ 全部調べてみてください。
また一緒に勉強しましょう。
局面作成