今日の「詰将棋並べ」
勉強の準備は良いですか?
初めての方は
過去記事「詰将棋並べとは?」
をご参照ください。
「並べて憶える」
この練習を 繰り返してやっていきます。
解説を見ながら
何度も繰り返して 並べてみてください。
記憶にしっかり定着させましょう。
「大道詰将棋」を観てみます。
大道詰将棋については
ほかの問題の記事も書いています。
大道詰将棋カテゴリ も よろしければ
ご参照ください。
今回は
「歩問題」
と呼ばれる作品です。
持ち駒に「歩」があります。
その中でも簡素な図 有名な作品で
勉強してみます。
★盤駒を 出してくださると嬉しいです。
「大道詰将棋」では
盤駒が必要な 難しい変化・余詰が出てきます。
かなりの腕前の方でも
盤駒が必要になる問題があります。
まずは 並べて学習した方が良いと思います。
もちろん
お強い方は 頭の中でも大丈夫と思います(^^)
大道詰将棋は いわゆる普通の「詰将棋」とは違い
持ち駒が余ったり
余詰めがあったりですが
詰めば良いのです、
と ここではご紹介しています。
実力養成であったり 終盤力の習得には
良い部分も とても多いと思っていて
自分は日頃 取り組んでいます。
図:初形
詰め手順:
92歩 81玉 61飛不成 71歩
91歩成 同玉
*83桂不成 同歩 71飛不成 81銀
92歩 82玉
72桂成 同銀 91飛成 まで 15手詰
途中で あれ?と思う手順が
出てきたと思った方も おられるのではないでしょうか。
初形に戻して 何度か
ゆっくり 詰みまで 動かしてみて下さい。
【学習・研究に進む前に 】
*実は この問題
7手目の 83桂不成 を 71飛不成
としても詰みます。
=「手順前後」といいます
用語ですので 今はスルーでも構いません。
ちょっと 7手目以降を 並べてみてください。
先に7手目 83桂不成 に変えて 71飛は
71飛 81銀 83桂不成 同歩
「92歩」 82玉 72桂成 同銀 91飛成
と 15手で詰みになります。
詰めの手順を 前後で入れ替えても その後
13手目 「92歩」
これは
通常の作品集などに 載っている
現代の精査された詰将棋作品には ないことです。
*「大道詰将棋」なので
詰めば良いとして 手筋等 勉強です(^^)
完成された 純正なる 詰将棋作品とは
また違う 魅力がありますね。
図:詰上がり図
上記までの順をまず 並べて憶えてください。
ゆっくり 駒を動かしてください。
手順前後の 手順も憶えてくださいね。
全てを憶えてしまいましょう。
図面作成もできますか?
繰り返し やっていきましょう。
実力養成です。
【学習・研究】
*飛車の不成(ならず)が
2回出てくる詰将棋です。
丁寧に調べていきましょう。
図:92歩
初手は 92歩から入ります。
まずはここへ 打ってみたいところです。
図:初手92歩 81玉 61飛不成
ここで 1回目の飛不成がでてきます。
敵陣ですから
成って 龍としたいところですよね。
*なにやら怪しげな世界ですか?
ではなぜ 飛不成が必要かを 観てみます。
図:3手目 61飛成の時
普通の手に見える
61飛成だと 何故詰まないのか?
を はっきりしておきましょう。
3手目 61飛成としました。
図:4手目 71歩
玉方は 71歩と
合駒を「歩」で
受けました。
*歩で合駒が 肝要です。
なぜ 歩 なのかは
後ほど 謎が解けます。
続けましょう。
図: 91歩成
次に 91歩成 と 成捨てて
図:同玉 71龍
91の玉と 71の龍が
一間龍の形になっていきます。
龍と玉が 縦 または横に
一マスを空けて並んでいる形を
一間龍(いっけんりゅう) といいます。
出現 頻度の高い 手筋です。
さて。
一間龍の形になってきましたが
ここで攻め方の駒台には
「歩」しかありません。
*この 歩がポイントです。
玉方は 合駒をしてきます。
図:71龍 81銀合 83桂不成
一間龍の形になり
玉は 端に追いやられています。
合駒をされた後
83桂不成 と
ここをこじ開けます。
一間龍の形に なってはいますが
図:83同歩 92歩(打ち歩詰禁)
83桂不成は 同歩とされて
92歩と 王手しました。
一番初めに示した手順では この92歩は
82玉とできたのですが
飛車が 龍になってしまっているので
玉は 82には 行けません。
ここで この
92歩が 打ち歩詰の禁じ手になるのです。
*4手目 71歩合とした意味が
ここでわかりましたね。
一間龍の形にできても
71歩合とされて
玉方が
攻め方へと 渡した駒は 歩 のみです。
打ち歩の禁となってしまいました。
これは盲点ですね。
したがって 61飛不成 と
飛車を成らずに 王手するのがいいようです。
本手順に戻ります。
*初手から 3手目 61飛不成へと進めてください。
図:61飛不成
92歩が 打ち歩詰禁にならないように
3手目の61の飛車は
不成として
図:3手目61飛不成 71歩合
91歩成 同玉
83桂不成 同歩 71飛不成 81銀
9手目で
2回目の飛不成が出てきました。
ここまで進めると
ようやく わかってきましたね。
*71に 飛車か 龍かの 違いです。
飛車のままなので
打ち歩の禁 にならなくなっています。
図:11手目 92歩
2回の 飛不成で この92歩が実現。
もうひと頑張りです。
図:11手目92歩 82玉 72桂成
13手目 72桂成が良い手です。
この形では 手筋として憶えましょう。
反射的に浮かぶと 実戦でも役立ちますね。
図:13手目72桂成 92玉 81飛成
72桂成の好手を
上図のように 同玉なら
81飛成で詰みです。
*銀が駒台に余りました。
1番初めに示した 同銀 91飛成は
駒余らずです。
*両方を憶えてください。
普段の詰将棋では
駒が余らない手順を解答しましょう。
読む 習慣をつけて
学習としては 両方を憶えます。
ここからは 初手の研究をしていきます。
【初手 61飛不成の研究】
図:初手 61飛不成 は詰むのか?
本手順では
初手は92歩 81玉 から
飛車不成 の侵入を経て詰みました。
では 初手で
いきなり61飛不成で はどうでしょうか?
調べてみます。
図:初手61飛不成 81銀
初手の 61飛不成には
81銀と 本手順と同じように受けてみます。
合駒を 銀にしてみました。
図:83桂不成
83桂不成として
92歩が
打ち歩詰にならないようにしていきます。
図:3手目83桂不成 同歩 92歩 82玉
続けて迫っていきますが
攻め方の飛車の位置が
詰んだ 初めの手順では 71でしたが
今は 61です。
先ほどより 一路 玉から遠いですね。
この 一路の差は 気になるところです。
図:72桂成
72桂成と 王手をしてきますが。
図:72同玉
ここを同銀としてしまうと
91飛成までの 詰みです。
先ほどと違い
飛車が 61にいるので
72同玉とできますね。
当然 詰みません。
上図では このあと
有効な王手が続きません。
*「初手 61飛不成の研究 結論」
81銀合で
以下 72桂成を同玉とすれば詰まない。
では 次をみてみます。
盤面を 初形に 戻してください。
【初手 83桂不成の研究】
図:初形から 初手 83桂不成
では
初手 83桂不成は 詰むでしょうか?
図:初手83桂不成 同歩
同歩と素直に取ります。
図:3手目61飛成 81銀
3手目 61飛成から調べてみます。
図:81銀 92歩 82玉 72桂成 同銀
91龍
9手で 詰んでしまいました。
玉方は 何が悪かったのでしょうか?
3手目 61飛成まで 戻ります。
図:3手目61飛成 71歩
初手83桂不成 同歩 61飛成として
4手目の合駒を
「中合」の 71歩とするのが
妙手で 好手です。
中合は 以前の記事でも取り上げています。
実戦でも使うことが多い手筋ですので
ぜひ 憶えましょう。
図:71歩 92歩 81玉
71歩の中合を取らずに
92歩 81玉 と進むと
図:72桂成 92玉
王手するには 72桂成
のほかに ありませんが
上図 92玉 とされて 詰みません。
では 同龍なら どうでしょうか。
図:61飛成 71歩 同龍 81銀 92歩
今度は 中合の歩を 同龍と取りました。
71歩が好手 妙手なのは
龍を 引き付けて
一間龍の形を作らせ
打ち歩禁 の形へと
誘導するところにありました。
71歩の中合の捨て駒は
味わい深い素晴らしい手です。
初手 83桂不成から61飛成は
71歩の中合でも
詰まない事がわかりました。
では
図:初手 83桂不成 同歩 61飛不成
先ほどの61飛成は
71歩の中合の絶妙手で 詰みませんでした。
それでは 打ち歩詰 にならないようにと
3手目61飛不成にすると?
単に 81銀合とされて
この形は 一路 飛車が遠いので
詰みません。
*上図以下 先ほどの手順で
92歩 82玉 72桂成 に
同玉で詰みませんね。
盤駒で確認をお願いします。
【研究のまとめ】
たくさん 観てきましたね。
ちょっと ごちゃごちゃしましたか?
整理します。
*初手は 92歩以外は 詰まない。
*手順前後の詰みがある。
(初手92歩 以下で 7手目)
*飛車は2回成らず=不成 としないと詰まない。
*71歩の 中合 を憶えてください。
図:反転図
反転図です。
*上図も
作図できるように 練習しましょう。
コツコツ やってみましょう。
すぐ強くなりたいと思うのは
皆同じですが
丁寧にコツコツが
急がば回れと思っています。
この反転図から 手前の玉を 詰ませてください。
詰め手順を見て 並べてみてくださいね。
反転図を詰ますことは とても大事です。
必ず 実戦でも役立ちます。
*大道棋屋さんになった気分で
ご自身で やってみても
楽しいかもしれません(^^)
詰め手順:
92歩 81玉 61飛不成 71歩 91歩成 同玉
*83桂不成 同歩 71飛不成 81銀 92歩 82玉
72桂成 同銀 91飛成 まで 15手詰
*繰り返しですが 7手目
「手順前後があります」
*83桂不成 でも 71飛 でも詰みです。
図:反転図での詰上がり図
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今日の勉強はここまでです。
大道詰将棋「歩問題」はいかがでしたか?
難しい問題も ゆっくり 盤駒を使って
丁寧に 観ていくと
だんだん 力がついてきます。
反転図での攻防も 観てみました。
大道棋も 易しい問題から
だんだん 難しい問題を
今後 観ていきたいと思います。
また一緒に勉強しましょう。
*用語に関する過去記事
打ち歩詰禁:待宵第31番
一間龍 : 待宵第22番
中合:待宵第1番
局面作成:
http://home.att.ne.jp/lemon/ogi/SituationFigure.html 様より
ありがとうございました。